2025.07.10 医療・福祉
第8回 縦割り行政の解消で効率的な「地域づくり」を
主任介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉学(修士修了)
/地域包括支援センター管理者(杉並区) 本間清文
地域包括ケアシステムと地域づくり
私が仕事の主戦場としている介護保険において、以前より「地域づくり」というワードが、幾度となく用いられます。
それは、主に少子高齢社会や人口減少社会を迎えるに当たり、これまでのような専門家によるフォーマルなサービス供給が容易ではなくなることを背景に、「自助」、「互助」の必要性とひも付けて語られることが多いです。
特に介護予防などの観点からは、これまで一方的に「支えられる側」であった老人が、時には「支える側」や「担い手」になることの重要性や、地域に居場所や役割がないことが、健康上かえってよくないといった論理展開がなされ、地域に住民主体の居場所や通いの場を創設することの重要性が語られてきました。
それらを称して「地域づくり」という言葉がよく用いられます。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192992.html)
そして、その地域づくりを推進するために、例えば、地域包括支援センターや社会福祉協議会には、「生活支援コーディネータ―」という人員が配置されるようになりました。
私が在籍する地域包括支援センターでも、この生活支援コーディネーターが配置され、日々、地域に出向いては、住民の意向やニーズの把握、住民主体の資源開発の創生支援やネットワーク構築の支援などを行っています。
そこでは、町会や民生委員、地元の商店会等といった元来の地域の「顔」役はもちろんのこと、ボランティア・サークルや個人ボランティアまで、様々な立場の地域住民との連携が欠かせません。そのため、生活支援コーディネータ―は常に、地域や住民に関する情報にアンテナを向け、より有効な連携手段を模索したり、連携できそうな地域住民の発見に努めています。特にボランティア活動などに関心がある地域住民とは、常にネットワーク構築や様々な事業への協力・連携などを進めたいと考えています。
しかし、こうした地域住民に関するネットワークや情報というのは、インターネットなどで探せない情報のため、なかなか適当な地域住民に出会えなかったり、思うように進まないのが現状です(あくまで私の場合ですが)。
