2025.06.25 政務活動費
第13回 携帯電話に係る経費の支出
これは、仙台高判令和4年12月21日においても同様の判示がなされ、通信費については、通信が幅広い目的に適宜使用されることを踏まえると、一般的、外形的な事実から、調査研究活動以外の活動にも利用されることが推認され、当該経費の2分の1を政務活動費から支出することが認められている。
【仙台高判令和4年12月21日】
通信費については、通信が幅広い目的に適宜使用されることを踏まえると、一般的、外形的な事実から、調査研究活動以外の活動にも利用されることが推認される。
以上によれば、上記はがき形式の各報告書の郵送費を除く支出については、調査研究活動以外の活動にも利用されたことが推認され、控訴人らにおいて、上記支出に関し、調査研究活動のみに利用されたこと又は調査研究活動に利用された割合とそれ以外の活動に利用された割合について客観的資料に基づく具体的反証がなされているとはいえない。
したがって、上記郵送費を除く各支出の2分の1を超える額の合計である22万3030円が本件使途基準に合致しない違法な支出であると認められ、補助参加人Pの不当利得に当たる。
また、私的利用を主とした携帯電話と政務活動を主とした携帯電話を別途所有し、使用を使い分けていたとしても、政務活動を主とした携帯電話が私的利用をされていないと立証することは現実的に困難であり、それゆえ、当該状況においても政務活動費からの携帯電話の通信費としての支出は全体の2分の1とされる判示がなされている。
【仙台高判令和4年12月21日】
通信費については、私的にも使用し得る携帯電話(本人主機)と調査研究活動のための携帯電話(本人予備機及び事務所政務補助者用)を区別して利用した上、調査研究に係る費用のみを政務調査費から支出しているため、上記支出は、調査研究活動のみに利用されたものであると主張する。
しかしながら、補助参加人bfが、広報紙の作成を一律に専ら調査研究活動であると位置付けていることなどを踏まえると、上記支出が広報紙の作成等、調査研究活動以外の側面をも有する活動に利用された可能性を否定することができない。そうすると、上記支出に関し、調査研究活動のみに利用されたこと又は調査研究活動に利用された割合とそれ以外の活動に利用された割合について客観的資料に基づく反証がなされているとはいえない。
したがって、上記支出のうち各支出の2分の1を超える額の合計である9万2608円が、本件使途基準に合致しない違法な支出であると認められ、補助参加人bfの不当利得に当たる。
以上から勘案するに、携帯電話は政務活動にとって必須のツールであることが認められていることは確かであるが、当該携帯電話の通話記録をすべて政務活動費に使用していると立証するなどがなされない限り、当該経費の政務活動費からの支出は2分の1を限度として認められるものであるといえる。
