2025.05.12 コンプライアンス
第12回 職員に対するハラスメントの大半に関与した議員の氏名公表
(3)B市議会の対応
2025年3月25日、B市の市長からB市議会議長宛てに本アンケート調査の結果が示され、議会からはハラスメント行為に関与した議員の氏名を公表するように要望。B市からB市議会にアンケート結果の抜粋とC議員が行為者であるとの情報提供を受けました。
この結果をもとに全員協議会が開催され、賛成多数で氏名の公表が決定されました。B市では議会のハラスメント対策に関する条例が制定されていないため、氏名の公表に関する規定は存在しませんが、議長は「1人の議員が訴えの半分以上を占めている事実を見逃すわけにはいかない」、「市民や市職員の皆さまに迷惑をかけて申し訳ない。議員のハラスメントには厳正に対処する」として公表を決定しました。
なお、継続的にハラスメント行為をしていたのはC議員のみで、他の議員のハラスメント行為は単発的なものだったことから、氏名が公表されたのはC議員のみとなりました。
この一連の事案を受け、議会ではハラスメント防止条例の制定準備を進めており、2025年6月議会での条例制定を目指しています。
(4)原因と対策
今回のアンケート調査を受けて氏名を公表されたC議員は、53件中2件のハラスメント行為を認めましたが、残りの51件については否定し、「議長はハラスメントに該当するかどうかの検証もせず、53件に関与していると判断して私の人格と信用を傷つけた」と主張。今後は情報公開請求で訴えられた根拠の提示を求めるとして、争う姿勢を見せています。
議員向けのハラスメント防止研修を受講したにもかかわらず、このようなコメントをするということは、自身の加害性に全く気がついていないということです。ですが、今回の氏名公表によってC議員のハラスメント行為が周知されたことから、一定の抑止力になることが期待されます。
今回のB市の事案は、B市市長と議長の連携により、ハラスメントに関するアンケートを約半年で2回実施したこと、またC議員の氏名を公表したことが大きなポイントです。氏名を公表された議員は行為を否定しますが、事実をきちんと公表することで抑止力とすることはハラスメント対策として効果的です。ぜひ他の自治体でも取り入れていただきたいと考えています。