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2025.04.25 New! 仕事術

第30回 どうする緊急質問

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緊急質問実施の要件を確認する

  では、この15年の間に実施された緊急質問の事例と、緊急質問を試みるもうまくいかなかった所沢市議会の事例、及び、他市町村の事例を参照しながら、まずは、どのような場合に緊急質問に該当するのか、そして、どうすれば緊急質問ができるかについて、確認したいと思います。
  緊急質問の定義を改めて確認します。都道府県、市、及び町村の標準会議規則では、一般質問とは別に、議員は、「質問が緊急を要するときその他真にやむを得ないと認められるときは、……議会の同意を得て質問することができる」とされています。
  所沢市議会会議規則では、

 (緊急質問等)
第62条 質問が緊急を要するときその他真にやむを得ないと認められるときは、前条の規定にかかわらず、議会の同意を得て質問することができる。
 
2 前項の同意については、議長は、討論を用いないで会議にはからなければならない。
 
3 第1項の質問がその趣旨に反すると認めるときは、議長は、直ちに制止しなければならない。

と定義しています。
  また、緊急質問は、「災害等の発生により緊急に対策を講じる必要が生じたとき、その他真にやむを得ないと認められる場合に行われます」(2)と説明されています。所沢市議会のここ15年の場合は、緊急質問は災害等の発生ではなく、その他真にやむを得ないと認められる場合として実施されました。
  緊急質問が活発な那覇市議会の場合、1973年から20回行われています。この20回もタイトルで判断する限り、火災発生や重症急性呼吸器症候群(SARS)などが災害等の発生に分類されるのでしょうが、基本は、真にやむを得ないと認められる場合に分類されます(3)
  ですから、「災害等の発生」や「緊急に対策を講じる」に該当しなくては緊急質問ができないという思い込みは捨てた方がよいといえます。筆者の友人のある市の市議会議員Aさんも、2024年6月の定例会において、自身の議員活動で初めてとなる緊急質問が提起された際に、「緊急質問には要件があり、該当するのか?なにが緊急なのか?という点で疑問があ」ったとのことでした。また、緊急質問に該当している事案は議会開会時に既に発覚していたことから、「6月議会初日や3日間行われた一般質問の日等に行うべきだったのではないか?」という可能性も検討され、「会議規則や議員必携を開き、ネット上でも事例を探し、緊急質問を認めるべきかどうか考え」たそうです。結論として、緊急質問を議案日程に追加することには賛成し、実際の緊急質問のやりとりを聞いて、緊急質問を行ったことはよかった、と述べられています(概略は筆者まとめ)(4)
  改めてご本人にも確認したところ、「議事日程に追加することへの合意がなかなか成立しなかった歴史が長いので、そこを変えたかった」ということが、賛成の大きな理由だったそうです。
  一方で、執行部側も、議会としても緊急質問実施のハードルが高いことを見越して、一般質問として質問されそうな事案が発生した場合、一般質問の締切り後にそうした事案を発表したのではないかという事例もいくつかありました。この点は憶測の域を出ませんが。
  もちろん、通年議会制を採用している議会であれば、何らかの質問すべき緊急性の高い事案が発生した場合は、議長が臨時議会を招集すれば、直ちに質問を実施することも理論的にはできます。また、緊急質問に該当するような事案が発生した場合、執行部や議会からの要請に基づき、議会を開会せずに全員協議会などを開催し、そこで執行部から説明を受け、執行部に対して事実関係を確認するなどしている議会もあるようです。全員協議会の場合は、後述するように、正式な議事録には残りませんので、筆者としてはあまり賛成できません。また、臨時議会の招集には一定の手続が必要です。
  そのため、特に定例会開会中に何らかの緊急質問すべき事案が発生した場合は、躊躇なく実施することを検討すべきと考えます。

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