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2025.04.10

第24回 性別を変更するには

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弁護士 瀬戸康宏

Q性別を変更するには。

A

心と体の性が一致しない性同一性障害については、平成15年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「法」という)が制定され、戸籍上の性別を変更することができるようになった。
 従前は、戸籍上の性別の変更のためには「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」という要件を満たすことが必要であった(法3条1項4号)。
 しかし、最高裁により、この要件が、憲法13条に反し無効であるという判断がなされた(最大決令和5年10月25日民集77巻7号1792頁)。その理由は、「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」が憲法13条により保障されるところ、制定以降の医学的知見の進展に伴い、治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して、性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫るものになったということができること及び生殖能力の喪失を法令上の性別の取扱いを変更するための要件としない国が増加していることを考慮すると、この要件は制約として過剰になっており、「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」の制約は必要かつ合理的なものということはできないというものであった。
 なお、後述の要件のうち、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近 似する外観を備えていること」(法3条1項5号)という要件についても、憲法13条に反するとする3人の裁判官による反対意見がある。
 家庭裁判所が戸籍の性別変更を許可する年齢の条件が、従前は「20歳以上であること」であったが、令和4年4月1日から「18歳以上であること」に変更された。

1 対象者・手続
 性別変更には、住所地の家庭裁判所に審判を申し立て、許可を得る必要がある。
 現行法では、次の①から⑥までの要件のいずれにも該当することが必要とされている(法3条1項、2条)。ただし、上記最高裁判決の結果、今後、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」という四つ目の要件については、法改正がなされる可能性がある。

① 18歳以上であること
② 現に婚姻をしていないこと
③ 現に未成年の子がいないこと
④ 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
⑤ その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
⑥ 二人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること

2 費用
・収入印紙800円
・連絡用の切手代(裁判所によって違いがある)

3 必要な書類
・申立書
・出生時から現在までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
・所定の事項の記載のある二人以上の医師による診断書
 審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがある。

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