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2025.04.10 コンプライアンス

第11回 市議のハラスメント12件認定による辞職勧告決議

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A県B市議会のC議員によるハラスメント

 今回のケースは、A県B市議会のC議員によるハラスメント事案です。C議員は2022年から2024年のわずか2年間で合計12件ものセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)及びパワー・ハラスメント(パワハラ)行為が認定されました。同一議員でこれだけ多数のハラスメント行為が認定された事例は極めて異例です。
 また、本事案の特徴として、「男女問わずにハラスメント行為を行っていた点」も挙げられます。C議員が持つ極めて前時代的な価値観が本事案を引き起こしたと断言できる事例です。ここから、本事案の概要について解説していきましょう。

(1)本事案の概要

 A県B市議会のC議員は、2020年から2024年にかけて同僚議員3人に対して、発言や身体的接触によるセクハラや、暴言によるパワハラを繰り返しました。具体的には、2022年に研修に向かうバスの中で男性議員に対して「あんたは結婚していないんだから少子化対策の話やらしたらいかんばい」と発言。その場にいた女性議員に対して「子どもを産めない女は欠陥人間」とそれぞれセクハラ発言をしました。
 2023年には、女性議員の腰や肩、頭を6回触り、注意されても「もっと触りたい」と発言するセクハラ行為がありました。2024年には、C議員の言動を注意した議員に対して「ぶっ殺すぞ」と発言するなどのパワハラ発言がありました。別の場では、自殺対策に関する議論において男性議員に対して「お前が飛び降りて、代わりに見本を見せたらいいとたい」と発言しています。
 このように、度重なるハラスメント行為を繰り返すC議員に対してB市議会は、2024年11月1日付けで「B市議会ハラスメント防止条例」に基づき、文書でC議員に対して注意を行いました。しかし、C市議は「読んでいない」としてこの注意を無視。C議員のハラスメント事案が報道され、本人に反省の色が全く見られないことから、2025年3月26日付けでC議員に対する辞職勧告決議を全会一致で可決しました。
 しかしながら、本人は辞職勧告が可決された中でも「負託を受けているので、謙虚に律しながら続けていきたい」と議員辞職を否定しています。

(2)本事案の問題点
 本事案の問題点は、いうまでもなくC議員が飲食店で酒に酔って他の女性客にわいせつな発言をし、体を触るなどのセクハラ行為を行ったことです。セクハラはハラスメントの中でもいち早く社会の中で認知されており、社会的に到底容認できない行為です。今回は本事案の問題点は、C議員が元来持っていたであろう性別役割分担意識が表出した点が挙げられます。C議員は77歳と高齢で、当選期数が9期のベテランであり、議長経験まであります。初当選した34年前であれば通用したであろう価値観のまま議員活動を行っている点が、本事案につながったといえるでしょう。
 本事案におけるセクハラ・パワハラ行為は、いずれか一つでも議会内で重大な問題として取り上げられます。それが12件も積み上がったのは、C議員がベテラン議員であることから周囲が声を上げにくかったという議会内での政治力学的な問題があると推測できます。

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