2025.03.10 コンプライアンス
第10回 初当選後3か月でセクシュアル・ハラスメントにより議員辞職
(3)B市議会の対応
B市議会では2024年4月に別の1期目議員が自治会費と会派の積立金、合わせて約280万円を借金の返済や競馬、私的な物品の購入に充てていたことが発覚。その返済が済んでいたので刑事告訴はされなかったものの、議員辞職した事案があり、度重なる新人議員の不祥事が発生した結果となりました。
今回の事案を受けてB市議会議長は、2月28日付けで地方議会としては異例の「議員によるハラスメント事案に対する議長からのお詫び」を発信。再発防止を宣言しました。
お詫び
本市議会議員でありましたC元議員が起こしたハラスメント事案につきまして、被害者はもとより市民の皆様に大変ご心配、ご迷惑をお掛けしましたことに心よりお詫び申し上げます。また、昨年も議員が不祥事で辞職したばかりであり、市議会の信頼を失墜させましたことに重ねてお詫び申し上げます。
この件に関し、2月25日にC元議員より、私に辞職願を提出され、同日付けで、許可し、議員辞職となりました。
今回の事案は議員個人のこととは言え、重大な人権侵害であり、決して許される行為ではありません。今回の事態を厳粛に受け止め、議員研修の強化やハラスメント防止対策の規定の制定などを徹底し、市民の信頼回復に努め、市民の皆様の負託に応えられるよう、公正、高潔な倫理的義務を常に自覚し、良心及び責任感を持ち、市勢発展、市民福祉向上に議員一同努めて参る所存でございます。
併せて、議会では同日付けで「B市議会の綱紀粛正に関する決議」を行い、再発防止に向けた決意を表明しています。
B市議会の綱紀粛正に関する決議
B市議会においては、議会の最高規範となるB市議会基本条例により、議員は、公正及び高潔な倫理的義務が課せられていることを常に自覚し、市民の代表者として、良心及び責任感を持ってその使命を果たさなければならないとしている。
このような中で、本市議会議員が市民へのハラスメント行為や暴言等により議員辞職した。昨年も不祥事により議員辞職があったばかりであり、政治倫理に悖(もと)る不正事案が相次いでいることは、市民の代表機関である市議会の信頼を損なうものであり、許されるものではない。
市民から負託を受けた市議会議員として、こうした事態を重く捉え、改めて議員一人ひとりが綱紀粛正を徹底し、真摯に議員活動に勤(いそ)しむことで、市民の信頼回復に向けて尽力するよう決意を示すものである。
以上、決議する。
(4)原因と対策
本事案は、C議員が当選後もハラスメントに対する認識を改めずに過ごしていたことが最大の問題点であることは間違いありません。一方で、B市議会では2024年4月に1期目の新人議員が自治会費と会派の積立金を私的流用したことが発覚し、議員辞職した不祥事が発生したばかりです。改選期とはいえ、年度内に2度も新人議員が不祥事を起こして議員辞職するケースは珍しく、議会全体のコンプライアンス意識が低いと判断せざるを得ません。
不祥事が連続する時期に考えられるリスクとして、新たな不祥事が発生した場合に「これ以上批判を受けたくないから」という理由で不祥事を隠蔽してしまう可能性があります。このような状況に陥ると、より大きな不祥事に発展する可能性もあるため、直ちに組織改革に着手する必要があるでしょう。
まず、B市議会にはハラスメントに関する規定や条例が存在していません。まずはハラスメント撲滅を明文化するとともに、新人議員への研修の実施、そして議会全体での研修を行い、議員一人ひとりの意識改革を行うことが重要です。特に、議員になったばかりの新人議員への研修は、すぐにでも実施する必要があるでしょう。