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2025.03.10 ICT活用・DX

第3回 ペーパレスと様式とPDF

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元野々市市議会議員/議会BPRアドバイザー 五十川員申

紙からPDFへ:一見進んだようで進まないペーパレス化

 近年、地方議会をはじめとする行政分野で「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が注目され、その一環として「ペーパレス化」は有力な手段の一つとして位置付けられています。多くの自治体が、これまで紙媒体で配布・閲覧していた会議資料、議案、参考文献などを、タブレット端末やノートパソコン、さらには電子黒板や電子会議システムなどを通じて読むことができるようにし、紙の印刷部数の削減や資料配布に伴う手間・コストの軽減を図っています。この流れは、限られた予算や人手で運営される地方議会において、効率化や環境負荷低減にも資するものとして歓迎されています。
 しかしながら、ここで多くの議会が直面している問題は、「ペーパレス化」と称しながら、実際には紙で使用していた様式やレイアウトを、そのままPDFという静止画的な電子ファイル形式に置き換えただけで終わってしまっていることです。PDFは確かに「紙の形」を手軽に画面上で再現できるフォーマットですが、もともと紙向けに設計された複雑な表組みや横長のレイアウトは、ディスプレイ上で必ずしも読みやすいとは限りません。特に予算書や決算書など、見開きで利用することを前提に見やすさを確保してきた資料は、そのままPDF化すると、端末上ではスクロールが多くなったり、文字が小さすぎたりして、非常に読みにくくなってしまいます。
 さらに、PDFという形式は、コンピュータ処理や機械的なデータ抽出・再利用にはあまり適していません。PDFはあくまで表示や印刷を想定した「最終形態」の文書であり、データを再構造化したり、プログラムを用いて簡易な集計・加工を行ったりするのは困難です。これは、今後の議会活動が高度なデータ分析や、AI(人工知能)を活用した政策評価へと展開していく際、大きな障壁となります。また、アクセシビリティ(情報の利用しやすさ)の観点からも「紙をPDFにしただけ」のスタイルは課題を抱えています。視覚障害者や弱視の方、高齢者などが、複雑なレイアウトを再現したPDFをスムーズに読み解くことは容易ではありません。

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