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2025.02.10 コンプライアンス

第9回 A区議会におけるハラスメント防止対策(アンケート調査結果)を解説

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(3)元議員によるハラスメント被害も
 本アンケートの結果で特徴的なのが、「元議員によるハラスメント」について調査した点です。現職議員だけでなく元議員からも職員に対するハラスメントが行われていると明らかにした調査は珍しいため、貴重なデータであるといえます。
 現職議員は職員に対して対応を依頼できる根拠が地方自治法などで規定されていますが、元議員は当然「議員」という立場で対応を要求することはできません。それにもかかわらずハラスメント被害が発生しているということは、元議員側の意識に問題があります。  アンケートの自由回答に「おそらく議員や元議員本人は、自分の行動に問題があるとは思っていないように感じます」という回答がありました。現職議員の時代からハラスメント行為を常習的に行っており、その行動を「問題ない」と捉えているだけでなく、「議員引退後も同様の態度をとってもよい」という考え違いが生じているのでしょう。
 議員引退後にハラスメントを起こさないためには、現職のうちからハラスメントに関する知識を持つとともに、引退後は明確に立場が変わるということを議員が理解する必要があります。
 A区議会のように元議員からの被害を調査するケースはまれですが、今回のように現職だけでなく元職からの被害についても調査を実施すると、その被害の大きさが浮き彫りになる可能性があります。調査を実施する際には、行為者をより詳細に調査することで実態に即した結果となる可能性がありますので、参考にしていただければと思います。

 ハラスメント対策の第一歩は「ハラスメント研修」 

 議会でのハラスメント対策の重要性が認識されるようになり、ハラスメント研修を実施する自治体や議会が増えてきました。しかし、社会一般や職場でのハラスメントと議会のハラスメントは実態が異なるため、その違いを理解した上でハラスメントを防ぐ方法や起こさない方法を学ぶ必要があります。
 そのため、政治分野や議会の構造を理解している専門家にハラスメント研修を依頼すると、より効果的な研修が実施できます。

ハラスメントチェッカーで自分の「アンコンシャス・バイアス」を自覚する

 ハラスメントに対する意識の高まりを受け、「自分の言動が適切かどうかをチェックしたい」という要望が増えています。それに応えるために、ポリライオンではハラスメントかどうかをAIがチェックする「AIハラスメントチェッカー」を提供しています。
 このAIハラスメントチェッカーは、多くの方が利用しているLINEを使用しているので、簡単に自分の言動をチェックできるのが特徴です。
 AIハラスメントチェッカーは現在開発中の実証実験段階なので、どなたでも無料でご利用いただけます。ぜひセルフチェックや議会内・会派内での勉強会などにご活用ください。 

参考:一般社団法人ポリライオン「AIハラスメントチェッカー」 https://www.polilion.com/checker

 今回は、A区のハラスメントに関するアンケート調査結果についての分析と解説を行いました。現職議員だけでなく元議員によるハラスメントからも職員を守る必要があるということが明らかになったという点で特徴的な結果となりました。
 議員経験者はいつか引退して元議員になります。その際に無自覚に議員時代と同じ振る舞いをし、対応を求める可能性は誰にでもあります。「自分は議員だから」という認識を正しく用いれば地域・社会に貢献できますが、その権力で半ば強制的に相手を動かすことはハラスメントにつながりかねません。ハラスメントに対する批判が厳しくなったからこそ、自分が持つ「アンコンシャス・バイアス」に気づき、現役の議員時代だけでなく、議員を引退した後も職員と適切に関わることができるよう、今から対策を進めておきましょう。

◉ポリライオンが提供するプログラムについて
https://gnv-jg.d1-law.com/login/article/20240527/68786/7/

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