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2025.02.10 ICT活用・DX

第2回 議会DX「コストの見積り」

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雇用を守り、将来に備える──過度なスクラップアンドビルドは不要

 DX導入によって業務効率化が進めば、人件費をはじめとした維持コストを中長期的に抑制できる可能性があります。しかし、そのことをもってすぐに「人件費削減=人員削減」という過度なスクラップアンドビルドに直結させる必要はありません。確かに、少子高齢化が進む中で将来の担い手不足は避けられない問題となっていますが、DXの目的は必ずしも即時の雇用カットではなく、長期的に安定して公共サービスを提供できる体制づくりです。現状の人材を、より付加価値の高い業務や政策立案、住民対応へとシフトさせることで、人員構成を持続可能な形へと変えていくことが可能です。
 むしろ、今、人手があるからこそDXに取り組む意義があるといえるでしょう​。人材に余裕がある段階で業務プロセスを見直し、DXを進めることで、将来的な負担増や人材確保の難しさに備えることができます。そのためにも、ただ新技術を導入するのではなく、現行の業務フローやコストを丁寧に洗い出し、長期的な視野でDX後のあるべき姿を描くことが求められます。
 DXは単なる最新技術の導入ではなく、根本的な業務改革を目指すものです。そのプロセスには計画的なコスト評価が欠かせません。導入初期には学習コストが発生し、短期的には「山」を越える必要があります。しかし、それを越えれば業務効率化や長期的な人的リソースの有効活用が期待できるのです。その際、人件費の考え方を含めたコスト試算を丁寧に行い、現状や将来予測を踏まえた上で、必ずしも人員削減を目的としない柔軟な働き方改革の視点を持つことが重要となります。
 現状維持バイアスに打ち勝ち、DXによって新たな価値を創出するためには、学習コストを最初から織り込んでおくこと、コスト分析に人件費を適切に組み込み、将来像を描くこと、そして過度なスクラップアンドビルドに陥らない柔軟な組織づくりがカギとなります。今はまだ人手が十分にあると感じていても、将来はそうとは限りません。余裕がある今だからこそ、戦略的なDX導入で、長い目で見た持続可能な行政サービスの実現を目指していただければと思います。

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