2025.02.10 ICT活用・DX
第2回 議会DX「コストの見積り」
コスト算出のポイント──人件費を含む全体像の把握
もう一つ、導入コストに関して見落とされがちなのが「人件費」の問題です。DXを進めれば、業務プロセスが効率化され、これまで人手をかけて行ってきた作業が簡略化される可能性があります。しかし、自治体運営においては、公務員の人件費をどのように位置付け、算出するかが課題となります。もし新規システム導入費用だけを新たな「コスト」として積み上げてしまい、人件費の削減や業務効率化による長期的なコストダウン効果を算出しないまま判断すると、DXは単なる費用増として捉えられ、議会内外からの理解が得にくくなります。
この点で参考になるのが、かつて我孫子市が取り組んだ「提案型公共サービス民営化制度」です。この制度は平成18年度から令和元年度まで行われ、各公共サービスにかかる人件費を含むコストやサービス内容を公開し、民間からの改善提案を募ってコスト削減やサービス向上を図るというものでした。ここで行われた「人件費を含む詳細なコスト算出と公開」のプロセスは、DXを導入する際にも重要な示唆を与えてくれます。なぜなら、DXを成功させるには、現行業務にかかるコストを正しく把握し、可視化することが欠かせないからです。