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2025.01.27 仕事術

第28回 どうする自治基本条例①

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自治基本条例検討委員会委員長を参考人として招致

 第2回目の特別委員会は、2010年10月1日に、参考人として自治基本条例検討委員会委員長を招致して、意見聴取と質疑応答を行いました。参考人からは、自治基本条例制定に当たっての基本的な考え、これまでの市民委員による検討経緯の説明、積み残し事項、の主に3点について説明を受けました。
 具体的には、5年から10年といった長期的視点で条例検討を行ったこと、検討過程における市民対話集会については、第1回目には47回開催し、600人弱の参加があり、1,400件余りの意見が寄せられたこと、第2回目には14地区1団体から200人弱の参加があり、550件相当の意見が寄せられたこと、所沢市自治基本条例推進委員会細則、住民参加条例、住民投票条例などは具体化にまでは至らなかったことなどの説明がありました。
 その後、委員との質疑応答に移り、委員からは、条例制定における市長との関わりや議会提案の期限を遅らせること、議会での修正の是非、自治と市民自治との違い、協働や最高規範性、推進委員会のあり方、施行日、検討委員会の人数の増減、条例案の特徴、本会議での質疑についての印象、対話集会での意見の反映方法などについて参考人に説明を求めました。
 参考人からは、市長からは文書で7項目にわたる幅広い内容の意見が寄せられたこと、期限については、2011年4月1日を目標として進んでほしいということ、議会による条例修正は構わないが、修正について説明責任を果たしていただきたいこと、来年(2011年)4月1日から施行すればよいが、その日でなければ絶対にだめということではないこと、50人からスタートした検討委員会も終盤には二十数名となったこと、条例の特徴として「子どもやみどりを育む」やユニバーサルデザインについてはこだわっていること、寄せられた意見については漏れのないように集めたなどの回答がありました。
 その後、各会派から修正案を一定の書式に従って提出してもらうことを確認しました。
 第3回目の特別委員会は2010年10月13日に開催し、5会派から提出のあった修正案に基づき議論を進めました。各会派からそれぞれ修正案についての説明があり、その説明に対して質疑応答するという自由討議の形式で進めました。
 原案第13条(職員の責務)を除いて、すべての条文についての修正提案がありました。
 おおむね3点ほどに議論は集約されました。1点目は、自治基本条例と議会基本条例との関係について。2点目は、市民自治、信託、付託、協働などについての概念の整理の問題。3点目は、最高規範性をどのように扱うかということでした。
 続いて、第4回目の特別委員会は10月15日に開催しました。開催に当たり、委員長より第3回目の論点を整理したメモを配布しました。
 まず、各委員同士で自由討議を行い、おおむね三つの方向性が示されました。第1に、最高規範性については表現を弱める方向性とすること、第2に、議会条項については、議会基本条例が制定されていることから、該当箇所の表現を簡略化すること、第3に、自治と市民自治、まちづくり、市政、地域コミュニティ、協働などの語句の扱いについて整理することなどについて各委員の意見の一致をみました。
 一致した意見を含め、これまでの議論に基づき、正副委員長が各会派から提出された修正提案にのっとり、条例修正素案の原案を作成することについて各委員からの了承を得ました。
 次回は、具体的な条文改正の詳細と、なぜそのような条文改正を実施したかについて紹介したいと思います。基本的には改正をどのようなプロセスで実施したかが本稿の趣旨ではありますが、条文改正の部分で、自治基本条例のあり方、もっといえば地方自治のあり方、地方議会のあり方についても確認しながら議論を進めていきたいと思います。

(1) 自民党政務調査会「チョット待て!!“自治基本条例”~つくるべきかどうか、もう一度考えよう~」(http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/PDF/%EF%BC%93%EF%BC%93/%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88.pdf)。

(2) 所沢市ホームページ「【参考】まちづくり基本条例に関する特別委員会の概要」(
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/shigikai/tokubetuiinkaijyouhou/tokubetuinkai/matidukuritokubetu.html)。

 
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◆書籍情報
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江藤俊昭 新川達郎 編著(定価3,300円 (本体:3,000円))
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 自治体議員が地方財政に主体的に関与・改善したいと考えたときに、本書を読むことで、政策財務の考え方、特に予算・決算・監査に関する基礎的知識や方法論を紹介。先進的な議会の予算決算に関する取り組みや予算案修正の際の考え方や手続き、具体的な修正の手法を知ることができる。

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