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2025.01.27 仕事術

第28回 どうする自治基本条例①

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なぜ特別委員会を設置して審議したのか?

 自治基本条例が議会に提案された場合、議会としてわざわざ特別委員会を設置して対応する例というのは少ないようです。なぜ所沢市議会は特別委員会を設置して対応したのかというと、基本は住民からの請願です。当初は、総務常任委員会に付託されたのですが、2010年9月定例会に、「自治基本条例検討についての『体制整備』を願う件」という請願が住民から提出されました。その結果、総務常任委員会から、自治基本条例の審議のための特別委員会を設置することが決定されました。
 この請願については、私も少し関わっています。自治基本条例を制定する会の市民検討委員会からの市民案と執行部側との間に、市長への条例提出の前の最終段階である2010年6月から7月にかけて齟齬(そご)が生じるようになりました。市民案について行政側との調整作業を重ねましたが、最後まで調整不可能な箇所がいくつか残ってしまったそうです。そのため、その部分について議会の審議を通じて、市民案を具現化してほしいとの要望でした。
 私は「それなら、総務常任委員会での審議ではなく、特別委員会を設置してしっかりと議論した方がよい」と提案しました。さすがに請願で「特別委員会を設置して議論せよ」とすると、議会の中からは、そこまで請願で指示されて唯々諾々(いいだくだく)と従うのは気に入らないという声が出てくる可能性もあったため、「体制整備」としました。実際には、議会側は「体制整備」として各会派にも根回しをし、特別委員会を設置する算段を整えました。請願採択時の定例会で早速、特別委員会を設置してしまいました。何しろ、改選まで1年を切っていたので、あまり時間的な余裕がなかったこともありました。
 特別委員会の委員長には、私が互選されました。特に今回は、元気いっぱいの市民検討委員とやりとりしなくてはならないことが予想されたため、委員長のなり手もなく、すんなりと決まりました。

所沢市議会が主体となって自治基本条例について検討したことも

 第1回目の特別委員会は、2010年9月27日に開催しました。委員会の運営指針として、①3月議会以降は改選時期を迎えるため、3月議会までに議決を目指すこと、②「まちづくり基本条例に関する特別委員会」で議会が提案骨子を提案したという経緯を尊重すること、③9月定例会に提出、可決された請願第6号「自治基本条例検討についての『体制整備』を願う件」を最大限尊重すること、の3点を確認しました。
 ここで、②「まちづくり基本条例に関する特別委員会」について少し説明します。「自治基本条例」は、自治体によっては「まちづくり基本条例」という名称で制定される場合もあります。先ほどの公共政策研究所調査による「全国自治基本条例・議会基本条例の施行状況(2023.10.1現在)《修正版》」でも、自治基本条例の制定件数には、「まちづくり基本条例」も併せてカウントされています。
 所沢市議会では、2005年12月から2007年2月まで「まちづくり基本条例に関する特別委員会」(以下「旧特別委員会」という)が設置されていました。旧特別委員会も、自治基本条例に関する調査・研究が目的でした。結局、旧特別委員会は、特別委員会として自治基本条例のあり方を議論してきましたが、素案策定までにはたどり着くことができませんでした。私は、この失敗を繰り返さないために、議会基本条例制定に関する特別委員会の運営では、条例制定を明確なゴールとして工程表を作成して議事を進めました。
 旧特別委員会は、総意として以下2点の提言を行いました。
 ①自治基本条例についての市民へのPR活動の徹底、②自治基本条例の骨子(素案)と論点整理をすべき、というものでした。その骨子は、自治基本条例の目次案のようなものでした。
 旧特別委員会から提出された自治基本条例の骨子は、前文として「市の特性、らしさ」、「市民憲章」、「自治のあり方」、「制定の宣言」。総則として「目的」、「最高規範性」、「定義」、「基本理念」。市民等として「定義」、「権利」、「責務」。コミュニティとして「地域」、「組織」。市政への参加、協働として「参加」、「協働」。行政運営の原則として「総合計画」、「執行機関」、「財政運営」、「他自治体との連携」。「市議会」、「市長」を柱とした条例の構成を提案する、というものでした(2)
 結局、旧特別委員会は、提案骨子を提案したという形で活動を終息しました。この骨子は、何ら拘束力を有しないものでした。そのため、「議会が提案骨子を提案したという経緯を尊重すること」という曖昧な表現となりました。
 請願第6号「自治基本条例検討についての『体制整備』を願う件」を最大限尊重するため、早速、条例検討委員会に属する市民委員からの意見聴取を2010年10月1日に行うこと、参考人として、条例制定に当たった自治基本条例検討委員会委員長に出席を求めることを決定しました。

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