2025.01.14 ICT活用・DX
第1回 重要度が高まる地方議会を機能させるには
国会議員と地方議員の支援体制の違い
国会議員と地⽅議員の⽀援体制には⼤きな違いがあります。国会議員には、政策⽴案や判断をサポートするための公的な⽀援組織が複数存在します。例えば、国⽴国会図書館は、⽇本で発⾏された書籍を収集するだけでなく、国会議員の政策⽴案や判断をサポートするための司書サービスを提供しています。これにより、議員は必要な情報を迅速に⼊⼿し、質の⾼い政策⽴案が可能となっています。
また、衆議院や参議院には、政党に依存しない公的な調査室や調査局が設置されており、議員の活動を専⾨的にサポートしています。これらの機関は、議員が直⾯する様々な政策課題に対して、必要なデータや分析を提供し、質の⾼い議論と意思決定を⽀える役割を果たしています。
⼀⽅、地⽅議会の⽀援体制には多くの課題があります。地⽅議会には議会図書室が存在する場合もありますが、その多くは形だけの存在にすぎず、実際に調査や政策⽴案をサポートするための司書が配置されていることはまれです。これにより、地⽅議員が必要な情報を迅速に得ることは難しく、政策⽴案の質が低下してしまいます。
さらに、地⽅議会には政務調査を⾏う部署も存在しますが、これらの部署も⼗分に機能していないのが現状です。多くの場合、政務活動費のチェックや視察対応、委員会視察の同⾏など、⽇常業務に追われており、調査や政策⽴案の⽀援には⼿が回っていません。これにより、地⽅議員は⾃⾝で情報収集や調査を⾏わざるを得ず、結果的に議会の機能が低下してしまいます。
また、地⽅⾃治体全体で⼈員が不⾜しているという問題もあります。公務員のなり⼿不⾜や多様化する課題に対応するために、直接住⺠に関わる執⾏部側に多くの⼈員が割かれ、議会事務局の機能拡充が後回しにされています。このため、議会事務局の増員や新たな専⾨職の配置は、現実的には困難です。
これらの課題を解決するためには、議会事務局の業務の⾒直しと議会デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が必要です。