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2024.12.25 政務活動費

第11回 政務活動費からの人件費への支出

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 最後に、雇用契約との関係性であるが、雇用契約の内容により当然、政務活動費からの支出は変わってくる。東京高判平成28年12月21日では、会派控室で雇用する職員の雇用契約で「政務調査の補助及び関係帳票類等の作成・整理、内外の連絡業務」等と記載されていることから政務調査研究活動の補助業務に限定されていると認めらえるとして全額充当を認めている。しかし、東京高判平成30年5月24日では、雇用契約書の職務内容に一般事務が含まれていたことから、2分の1での按分支出(名古屋高判令和6年4月17日も同旨)としている。特に令和6年名古屋高判では、①職員との雇用契約の内容、②給与等への政務活動費からの支出状況を勘案して適正な支出かどうかが判断された。①については、雇用契約における業務内容が「政務調査補助用務・講演会活動補助用務」又は「政務活動に関する業務及び秘書業務全般」とされた場合、政務活動の補助業務とそれ以外の業務を兼務する職員であると推測され、会派又は議員が行う政務活動を補助する職員を雇用しているものと判断される。②については、二つの業務を兼務する業務に対する給与となることから、政務活動を補助する業務量を勘案して按分計算をした上で政務活動費を充用することとなる。この場合、一般的には二つの業務に携わることから、給与の2分の1を限度として支出することは反証が提示されない限り認められる傾向にあると解される。
 そのため、会派又は議員が政務活動を補助するために雇用した経費として支払った職員の給与に対して、違法な支出であると請求する場合は、給与に相当する政務活動の補助業務に従事した実態がなかったことを推認させる一般的、外形的事実の主張立証が必要であるが、現実問題として事務所内等における職員の実態を職員自らが述べるならまだしも、第三者がそれを立証することは極めて困難であると解される。
 以上のように、政務活動費からの人件費の支出については、多角的に判断する必要があるため留意が必要である。

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