地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2024.12.25 政務活動費

第11回 政務活動費からの人件費への支出

LINEで送る

 次に、政務活動費からの人件費への支出については、常勤職員と非常勤職員によっても考え方が異なってくる。
 すなわち常勤の職員としての雇用の場合、事務所が政務活動のみを行う事務所か政務活動の補助以外の業務である後援会活動の補助は他の職員が専従しているなどの立証がない限り、政務活動以外の業務も行っているとして、原則2分の1を限度とした充当となる。これは常勤の勤務時間にもよるが、政務活動の補助だけで常勤職員としての勤務時間を費やすということは一般的に考えにくく、他の業務に従事していると考えるのが自然であるといえるからであろう。
 これに対し、非常勤職員としての雇用の場合は、仙台高判平成30年2月8日より「非常勤職員は、会派に所属する議員自身で負担できない業務量が発生した際に、必要に応じて雇用されるものであるから、調査研究活動の補助業務をさせる目的で雇用した非常勤職員について、従事した業務自体に調査研究活動以外の目的が併存することや、従事した業務内容が不明であっても調査研究活動の補助以外の業務の繁忙期に雇用されたことなど、上記〔調査研究活動への〕専従性を欠くことを窺わせる外形的事実の指摘がない限り、支出額の一部が調査研究活動との合理的関連性を欠くと推認することは困難である」として全額充当を認容する傾向にある。これは、政務活動の補助という限られた業務で非常勤として必要なときだけ補助してもらうということに、一定の合理性があるといえると解する。
 続いて、親族に対する政務活動費における人件費の考え方が問題となる。判例は大阪地判平成28年9月29日におけるように、被雇用者が親族等であるからといって、その人件費に政務調査費を支出することが直ちに違法になるとはいえないが、その親族等が調査研究活動を補助する職員としての実態を有するかどうかについては慎重な認定が必要であるとして、雇用実態により親族等に対する人件費の支払を認容している判例がある一方、仙台高判平成19年12月20日のように、政務調査活動の補助職員に家族を雇用するということはお手盛りとして納税者である住民の理解を得られにくく、さらに家族に支払う人件費の妥当な金額かどうかを検証することは難しいといえ、また、配偶者等は、社会通念上、議員活動に協力すべき立場であることも考慮すると支出は適当でないとする両極端の考えがある。しかし、現実的な立場からすれば、平成28年大阪地判の考え方が適当であると考えられ、親族等であるというだけで政務活動費からの支出が一切認められないとするのは厳しすぎ、雇用実態を明らかにすることにより支出を認めるべきであると解する。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る