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2024.12.25 政務活動費

第11回 政務活動費からの人件費への支出

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明治大学政治経済学部講師/株式会社廣瀬行政研究所代表取締役 廣瀬和彦

 会派又は議員が行う政務活動を補助する職員を雇用するため、その経費を政務活動費から支出することは、政務活動費の交付に関する条例で「政務活動費は、会派(議員)が行う調査研究、研修、広報、広聴、住民相談、要請、陳情、各種会議への参加等市(区)政の課題及び市(区)民の意思を把握し、市(区)政に反映させる活動その他住民福祉の増進を図るために必要な活動(次項において「政務活動」という。)に要する経費に対して交付する」と規定し、さらに「政務活動費は、別表で定める政務活動に要する経費に充てることができるものとする」として別表において「人件費」として「会派(議員)が行う活動を補助する職員を雇用する経費」と規定すれば、支出することは可能である。
 政務活動費からの人件費への支出に関しては、まず会派による雇用職員と議員個人による雇用職員とに分けて考える必要がある。
 会派による雇用職員については、広島高判平成29年3月30日等より「会派が雇用する職員に関するものについては、特段の事情のない限り、専ら会派控室において議会活動の基礎となる調査研究活動を補助する職員として雇用されているものといえる」として全額充当を認容する判例が多く見られる。当該雇用職員は、会派控室というその活動が一般的に政務活動が大部分を占める限定された空間での雇用であることから、その経費の全額を認めるとすることが可能であると解する。
 これに対し、議員個人による雇用職員の場合は、平成29年広島高判のとおり「議員は日常的に議会活動の基礎となる調査研究活動以外の政治活動も行っているものであることに鑑みると、専ら上記調査研究活動を補助する職員として雇用されたとか、実際に同調査研究活動の補助しか行っていなかったとは通常考え難い」として、調査研究活動の補助とそれ以外の部分とを判然と区別することは事実上不可能であるため、50%が正当な支出であると判示されている。これは、議員個人の場合、後述の契約内容とその実態にもよるが、社会通念上、政務活動の補助だけでなく議員活動の補助業務も行ったと推認され、それを覆す立証ができない場合、政務活動とその他の議員活動の補助に従事したとして50%の政務活動費からの支出となる傾向があり、当該経費の全額を政務活動費から支出することは難しいと解する。

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