2024.10.10 コンプライアンス
第6回 「議員からのハラスメントにかかるアンケート調査」結果を分析
A県B市議会が実施した「議員からのハラスメントにかかるアンケート調査」
A県B市議会では、議会を構成するC委員会が「ハラスメント対策」の一環として職員に対するハラスメントの実態調査を実施しました。アンケート調査は匿名で行われ、自由記述欄の記載内容については本人が公表を希望しない場合には非公開とすることでプライバシーの保護を図った上で実施されています。
(1)アンケート調査の概要
・実施目的:B市の全職員にアンケート調査を行うことにより、市議会議員から職員に対するハラスメント状況の実態を把握するとともに、市議会のハラスメントに関する規定の制度化に向けた検討に資する情報を収集することを目的とする。
・実施対象:令和5年10月1日現在の常勤一般職を対象
・実施方法:無記名項目チェック方式(一部自由記載)
・回収方法:封入による文書箱への投函提出
・調査期間:令和5年10月26日~11月9日
・調査人数:配布数406人、回答者数340人(回答率83.7%)
(2)主な集計結果
Q1 職位について
管理職 :110人(32.4%)
管理職以外:229人(67.4%)
記載なし :1人(0.3%)
Q2 あなたは市議会議員からハラスメントを受けたことがありますか。
全体回答 :ある…81人(23.8%)
管理職 :ある…44人(40.0%)
管理職以外:ある…37人(16.2%)
【分析】アンケートを分析すると、全体の23.8%が市議会議員からのハラスメントを「受けたことがある」と回答しています。全体の約4人に1人がハラスメント被害を受けており、非常に被害が深刻といえます。役職別に分析すると、管理職は全体の40.0%がハラスメント被害を受けており、被害傾向が管理職に偏っていることが分かります。
Q3 あなたは市職員が市議会議員からハラスメントを受けているのを見たことがありますか。
全体回答 :見たことがある…145人(42.6%)
管理職 :見たことがある…71人(64.5%)
管理職以外:見たことがある…73人(31.9%)
【分析】ハラスメントを受けた経験と比較すると、ハラスメントを見たことがあると回答した割合は約2倍です。ハラスメントを「受けたことがある」という実感を問うQ2の質問に比べるとより多くの人が「見たことがある」と回答しています。特に管理職と管理職以外では2倍以上の差が出ており、管理職だけが参加する会議など大勢の目に触れない場でハラスメントが発生していると推測できます。
Q4 どのようなハラスメント行為がありましたか。【複数回答】【分析】ハラスメントの内容を分析すると、管理職・管理職以外に共通して「理不尽な要求」と「高圧的な態度」が突出しており、管理職は「恫喝」も多く回答されています。対照的に、セクシュアル・ハラスメントに該当するハラスメントの傾向が少なく、市議会議員から職員へのハラスメントは議員という立場を利用したパワー・ハラスメントが多いことが分かります。