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2024.09.25

第19回 親のない子を養育したいときは

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5 費用
 里子を受託した場合、里親には手当等の支給がある。養育里親・専門里親に支給されるのは、主として、一般生活費及び里親手当である。里親手当に関しては、養子縁組里親や親族里親には支給されない。なお、養子縁組成立後は、手当等は一切支給されることはない。それ以外にも、必要に応じて教育費、医療費等が支払われる。自治体独自の加算がある場合がある。
 令和6年5月22日時点の金額では、里親手当として、養育里親には1人当たり月額9万円、専門里親に対しては1人当たり月額14万1,000円が支払われ、一般生活費として、乳児に対しては1人当たり月額6万4,120円、乳児以外には1人当たり月額5万5,530円が支払われる。

6 扶養控除
 里子を養育している場合、所得税法上の扶養親族として所得控除の対象になる。

7 養子縁組との違い
 里親と要保護児童との間には法的な親子関係はなく、あくまでも実の親に親権がある。他方で、養子縁組は民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度であり、養親が未成年者である子の親権者となる。養子縁組では国や自治体からの金銭的支援はない。
 養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類がある。
 普通養子縁組は、養親となる者と子の間には、法律上の親子関係が成立する(民法809条)。子は、実の親との親子関係を保ったまま、新たに養親を持つことになるため、実親や養親のどちらに対しても、扶養の義務や相続権を有することになる(民法727条、877条1項、809条)。普通養子縁組は相続などの関係で成人にも広く使われる制度である。配偶者がいる者が未成年者を養子とする場合には、配偶者とともに縁組をする必要がある(民法795条)。養子が未成年者の場合、養親が親権を有することになり(民法818条2項)、養子の氏が養親の氏に変更される(民法810条)。
 特別養子縁組は、養子となる者が15歳未満であり、養親となる者が夫婦であり、かつ、その一方が25歳以上であり、他方が20歳以上の場合に使用できる制度である(民法817条の2~817条の7)。特別養子縁組では実親やその血族との法律上の親族関係がなくなり(民法817条の9)、養親と子との間に法律上の親子関係が生じる(民法809条)。特別養子縁組は家庭に恵まれない子どもに温かい家庭を提供し、永続的に子どもの健全な養育を図ることを目的とした、子どもの福祉のための制度である。

8 真実告知
 真実告知とは、養子縁組をした養親や里親が家庭に迎え入れた子に対して、その子の出生に関する事実を伝えることである。子どもの権利条約によれば、児童はできる限りその父母を知る権利を有するとされている。実の親子でないことを子の生涯を通じて隠し続けることはできないものであるし、真実告知をしない結果、子に一人で背負わせてしまうことにもなりかねない。真実告知は必要なこととされており、幼い頃から少しずつ、自然に受け入れられるように真実告知をすることが望ましいものとされている。

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