2024.09.25
第19回 親のない子を養育したいときは
弁護士 瀬戸康宏
親のない子を養育したいときは。
親のない子を育てるには、養子縁組の制度があるが、養子にしないで養育するには里親として養育する方法がある。
もっとも、里親制度で受け入れる子は必ずしも親のない子であるとは限らない。里親制度は、様々な事情で家族と離れて暮らす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、養育する制度である。
1 里親制度の目的
家庭は、児童の成長・発達にとって最も自然な環境であり、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、その保護者を支援することが重要である。
一方、保護者により虐待が行われているなど、家庭で適切な養育を受けられない場合がある。このような場合に、子どもの権利を保障するために、家庭における養育環境と同様の養育環境において、継続的に養育されるための制度として、養子縁組や里親制度が存在する。子どもの成長過程では特定の信頼できる大人との間での愛着形成が重要であるが、里親による養育は、特定の大人との愛着形成を図ることが可能となる。
2 里親の種類
里親には法律上、1.養育里親、2.専門里親、3.養子縁組里親、4.親族里親の4種類がある。
- 養育里親は、原則18歳未満の児童を、家庭に戻るまでの間や自立するまでの間、養育する里親である(児童福祉法(以下「法」という)6条の4第1号)。
- 専門里親は、養育里親のうち、虐待、非行、障害などの理由により専門的な援助を必要とする児童を養育する里親である(児童福祉法施行規則(以下「規則」という)1条の36)。
- 養子縁組里親は、養子縁組を結ぶことが前提となっている里親であり、養子縁組が成立するまでの間、里親として一緒に生活するものである(法6条の4第2号)。
- 親族里親は、両親や、その児童を監護していた人が死亡、行方不明、拘禁などにより養育できない場合に、祖父母などの親族が児童を養育する里親である(法6条の4第3号、規則1条の39)。
3 里親登録
里親になるためにはまず、里親として登録を受ける必要がある。例えば、養育里親になるための基本的な要件としては、①要保護児童の養育について理解と熱意、愛情を有していること(規則1条の35第1号)、②経済的に困窮していないこと(規則1条の35第2号)、③養育里親研修を修了したこと(規則1条の35第3号)、④里親本人又はその同居人が欠格事由に該当していないこと(法34条の20第1項、児童福祉法施行令35条の5)が挙げられる。欠格事由とは例えば、児童虐待をした者であることなどがある。自治体によっては自治体独自の要件を定めている場合もある。
里親として登録を受けるためには、研修を受けたり、家庭環境の調査を受けたりする必要がある。まずは近くの児童相談所や里親支援機関に相談すると、里親の条件や手続などを説明してもらえる。
4 受託
児童相談所からの委託により、要保護児童を受託するが、児童相談所では、児童又はその保護者の意見を聴いて委託を決定する。これにより、里親として要保護児童を家庭に迎え入れ、ともに生活をしていくことになる。