2024.08.26 仕事術
第24回 どうするモンスター住民①
一般質問で公民館における私有物の扱いについて質問
ここからは、ノンフィクションです。2010年3月議会の所沢市議会一般質問です。一部改変しました。
木田「現在、団体の私有物及び私有物を保管する物置、ロッカー、倉庫等が何館かで存在していると思います。現状をお示しください。」
担当部長「団体の物を保管している物置、ロッカー、倉庫等が存在している公民館でございますが、現在、E公民館を除く全館で、サークル関係が所有するものを保管する物置、ロッカー、あるいは倉庫等が存在しております。」
木田「私は前々から私有物を置くというのはどうなのかなと思っていました。分かるんですよ、館の円滑な運営から見れば、その判断というのもあるかと思うんです。ただ、懸念事項がいくつかあります。一つは、紛失です。私有物が紛失したときの責任を誰がどうとるのか、行政訴訟を起こされたときどうするのか。それから、もう一つは、処分のときなんです。これも私の身近な人が、やはり公民館を利用していて、勝手に捨てられてしまったわけです。実際に処分されたものというのはそんなに大したものではないけれども、20年間の活動の思い出の詰まったものなんです。結局、私有物を預かると、最後はそういうことになるわけではないですか。郡山市のホームページのQ&Aでは、『Q いつも利用している団体なので、団体の私有物等を公民館に置かせてほしい』、『A 公平性の確保の観点から、特定の団体の私有物等を公民館に置くことはご遠慮いただいております』と書かれています。
当然ながら、公民館設置及び管理条例の11条は原状回復義務とあるんです。使用者は原状に回復して引き渡すとなっているわけです。この観点からしても、団体の私有物の保管は11条に違反するというふうに思います。ですから、私有物の保管を認めているということですけれども、この条例上の根拠を示していただきたいと思います。また、そういう私有物を保管することについての決裁というのはどういう形でとっていらっしゃるのか、この点についてお答えください。」
担当部長「まず、条例上の根拠ということでございますが、これにつきましては、条例上にはございません。社会教育法の11条におきまして『教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う』という規定がございます。これを解釈する中では、これまで長年培われてきました公民館活動という中でそうした援助を行ってきたことは事実だろうと思っております。しかしながら、時代の変化とともに、実は、昭和45年に市立公民館はできているわけですが、それから40年も経過している中で、サークル活動が増大し、平等な対応もなかなか困難であるということでございますので、今後一定の基準を示すなど、見直しの必要性は感じております。」
木田「要するに、こういうことは違法だと思います。やはりもう一つは、E公民館は置けないわけです。これは法のもとの平等に反するわけです。同じ市域内で、同じ条例の中で1館だけ置けない。これ、全部置いていると私もいえなかったのですが、1館置いていないところがあると、がぜん強気なんです。おかしいわけですよ。だから、やはり館によって私有物が置けたり置けなかったりする状態というのはよくないというふうに思います。直ちに私有物は撤去すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。」
担当部長「団体が公民館と共催をして事業を行うというような場合は除かせていただいて、団体の備品等については持ち帰っていただくような形で、いずれにしても全館で統一的な基準というのも必要だと思いますので、そのように対応してまいりたいと考えております。」
担当部長の答弁にもあるように、以前はそれほど活動団体は多くなく、しかも所沢市は公民館数が12館と多いこともあり、スペースに余裕があったのでしょう。しかし、活動団体数が増えてくると、既存組織優先で新規組織にはスペースが与えられない状況が生じてきます。執行部も当時、何らかの対応を考えていたようです。見直しの方向性も示されたことから、ここで撃ち方やめにしたかったのですが、むしろここから、Aさんグループだけでなく、それ以外の人々ともあつれきが広がっていくことになるとは、この時点では想像もしていませんでした。
◆書籍情報
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江藤俊昭 新川達郎 編著(定価3,300円 (本体:3,000円))
自治体議員が地方財政に主体的に関与・改善したいと考えたときに、本書を読むことで、政策財務の考え方、特に予算・決算・監査に関する基礎的知識や方法論を紹介。先進的な議会の予算決算に関する取り組みや予算案修正の際の考え方や手続き、具体的な修正の手法を知ることができる。