2024.08.13 仕事術
第4回 議会事務局の職員に手紙やプレゼントを渡したストーカー行為とパワハラによる辞職勧告決議
アンコンシャス・バイアスを自覚するにはケーススタディが効果的
今回のハラスメントの原因であるアンコンシャス・バイアスについては、自分が「当たり前」だと思っている価値観が時代の流れと乖離(かいり)していることを理解する必要があります。ですから一般論ではなく「自分の価値観が社会の価値観とどのように乖離しているのか」を具体的に知る必要があります。
このことから、座学的な研修ではなく、ケーススタディを伴う研修を行うことがポイントです。
(1)議員が持つアンコンシャス・バイアスを理解した研修が必要
アンコンシャス・バイアスは世代や属性によって様々ですが、「議員」という属性だけが持っているアンコンシャス・バイアスも存在します。C議員のパワハラは「議場に至る通路で赤ん坊をあやすとは何事だ」という、本人だけが持つ「神聖とされる議場に至る通路もまた、神聖でなければならない」、「神聖な場所で赤ん坊をあやすのは不適切だ」というアンコンシャス・バイアスが原因です。
しかし、一般的な職員や住民から見れば、議場に神聖さを見いだしているケースの方がまれであるといえるでしょう。
このように、一般的なアンコンシャス・バイアスに加えて議員だけが持つアンコンシャス・バイアスを理解し、「この言動がアンコンシャス・バイアスなのか」と自分ごととして理解しなければ、本質的にハラスメントをなくすことはできません。この点を踏まえて研修内容を決定することが重要です。
(2)ケーススタディで同僚議員との適切な関わり方を身につける
議員のアンコンシャス・バイアスを取り除くためには、実際のやりとりをケーススタディとして取り上げ、その関わり方が適切かを実践的に体験する必要があります。
効果的なのは、職員とのやりとりや、他の議員に対する振る舞いをシミュレートし、それぞれのケースについて議員同士で話し合い、どのように関わるべきかを考えていく研修です。自分の考えがアンコンシャス・バイアスに該当するかをその場でチェックできるので、当事者意識を持たせることができ、座学だけの研修よりも高い学習効果を得られます。
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参考:一般社団法人ポリライオン「AIハラスメントチェッカー」 https://www.polilion.com/checker
今回はA県B市議会での議員による議会事務局職員へのストーカー行為とハラスメントに関する事例について解説しました。
議員は市民に選ばれ、そのまちの意思決定を行う存在です。議員には高い倫理観が求められるため、自らのアンコンシャス・バイアスを理解し、適切な立ち居振る舞いをしなければなりません。
これからの地方議員には、ハラスメントに対する知識やハラスメントをしないための言動を身につけて、より良いまちづくりを行うことが求められます。政治分野のハラスメントがなくなるよう、私たちもサポートしてまいります。
◉ポリライオンが提供するプログラムについて
https://gnv-jg.d1-law.com/login/article/20240527/68786/7/