2024.06.25 ICT活用・DX
第21回 小規模町村議会でもできる議会活性化の実践~鹿児島県知名町議会の議会からの「政策サイクル」の取組み~
「政策サイクル」を回し、初めての政策提言を実現
2023年10月、筆者は再び知名町を訪問した。議員向けの研修会では、「政策サイクルの仕上げ方」のテーマで、先進議会の政策提言のまとめ方を紹介した。また、両常任委員会の所管事務調査のテーマに関連する町民の方に集まってもらい、意見交換を行った。「対話」の補助ツール「SOUNDカードTM」を使って、各テーマの現状とありたい姿について意見を聴取した。「SOUNDカードTM」は、それぞれのカードに考えるきっかけとなる多彩な「問い」が書かれており、自分で選んだカードの「問い」について参加者全員が順番に話すことで、言い出しづらいことや潜在的に考えていたことが自然に言葉になり、「心理的安全性」の高い場、深い「対話」の場がつくられる。カードに書かれた「問い」の力で、参加した町民の皆さんからはたくさんの前向きな意見をいただいた。
2回目訪問時の議員研修会
町民との「SOUNDカードTM」による意見交換会①
町民との「SOUNDカードTM」による意見交換会②
その後、各常任委員会は、テーマに基づく町内の現地視察を行った。また、総務文教常任委員会は熊本県天草市、建設経済常任委員会は鹿児島県日置市、南九州市、指宿市の先進地視察に行った。その結果をもとに、「議員間討議」を積み重ね、2024年6月、両常任委員会は政策提言書をまとめた。提言書は、6月20日、提言書のとおり提言することについての決議案を議会に提案、全会一致で可決。「政策決議提案」の形で、議会の議決の重みを付けて、今井力夫町長に手渡した。総務文教常任委員会のテーマ「未就学児支援」については、子育て支援を行う民間事業者との連携等が、建設経済常任委員会のテーマ「新規就農者支援」については、農地確保や農業機械購入に関する支援等が盛り込まれている。
町長へ政策提言書を手交