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2024.06.10 仕事術

第21回 どうする議会基本条例①

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条文案作成のために作業部会を設置

 条文の原案については、副委員長を部会長とする原案作成のための作業部会を設置し、当選回数の若い、どちらかといえばまだ既存の議会文化の影響を受けていない委員を中心に部会を運営しました。作業部会でつくった原案を委員会に諮って、条文を確定していきました。委員会全体で原案を作成するとなると、結局、議会事務局職員が原案を作成することになり、つまりは議会事務局の作業進捗ペースでしか委員会が進まないことになります。一方、部会であれば、基本的に定足数の縛りがないので、集まることができる委員が集まってどんどん作業を進めることができます。また、部会は議事録を作成する必要がありません。この点でも、議会事務局の作業はラクになります。当初は、部会には議会事務局は同席しなくてもいいと伝えましたが、事務局からの同席要望もあり、結局、同席してもらうことになりました。
 議会基本条例制定をきっかけに、作業部会の設置という方法は、その後、所沢市議会では当たり前になっていきました。
 作業部会に対しては、委員会で協議した第1次案の策定指針を示しました。

① 既存の先行する議会基本条例で取り上げられている論点に基づく条文はなるべく網羅して作成する。
② 条例案の形式で作成する。
③ 所沢市議会独自の条文、論点をできれば盛り込む。
④ 作業部会で意見が分かれた場合は、集約が基本であるが、集約が不可能な場合は当面、両論併記することも可とする。
⑤ 第1次案は8月20日までに作成する。

としました。
 作業部会では、条例の条文一つひとつにつき、既存条例(栗山町議会、伊賀市議会、三重県議会、その他)の書きぶり、さらに部会での意見を加えた表を作成しました。この表の作成に当たっても、議会事務局の手を煩わせることなく、当時の副委員長が自ら作成しました。
 この表に加えて、各委員会からも上記以外の議会の事例についての資料を提供してもらい、各項目の扱いについて委員会で決めていきました。
 作業部会が作成した第1次案に基づき、特別委員会でほぼ1日かけて議論を行いました。結果として、原案に条文の追加が2項目、削除が2項目ありました。これらの検討を踏まえて議会基本条例の第1次案を作成し、委員長報告を行いました。その後も条例制定までには、様々なことがありました。この続きはまた次回に。

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出典:「現場からの体験報告 議会インテリジェンス入門(その8)いよいよ議会基本条例制定へ」議員NAVI Vol.10(2008年)54頁

図 議会基本条例制定特別委員会工程表


(1) 「国→地方の『指示権』必要? 地方自治法改正案、衆院で参考人質疑」朝日新聞デジタル5月21日配信
https://www.asahi.com/articles/ASS5P3FZQS5PULFA00CM.html)。
(2) 公共政策研究所「全国自治基本条例・議会基本条例の施行状況(2023.10.1現在)《修正版》」(2024年)
https://koukyou-seisaku.com/image/2023.10.1jitigikaisekoujyukyou2.pdf)。
(3) シンポジウム「地方政府の時代~二元代表制を問う~」(2008年7月6日)における発言。

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◆書籍情報
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 自治体議員が地方財政に主体的に関与・改善したいと考えたときに、本書を読むことで、政策財務の考え方、特に予算・決算・監査に関する基礎的知識や方法論を紹介。先進的な議会の予算決算に関する取り組みや予算案修正の際の考え方や手続き、具体的な修正の手法を知ることができる。

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