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2024.06.10 仕事術

第21回 どうする議会基本条例①

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議会基本条例制定特別委員会の委員長に

 特別委員会の委員長には、私が就任することになりました。表面上は、「これは大変なことだ」と装いながらも、内心しめしめと思いました。議会事務局が私のところに、特別委員会設置についての議案の原案を持ってきてくれました。当初の委員会名は「議会基本条例に関する特別委員会」でした。原案どおりでよいかとも思ったのですが、ちょっとした仕掛けを仕込むことにしました。「議会基本条例『制定』に関する特別委員会」と名称をこっそり変えたのです。というのも、前年に設置されたある特別委員会が、単なるテーマの勉強会で終わってしまっていたことを思い出したからです。やはり明確に議会基本条例を「制定」することを目的とした特別委員会にしたいと考えました。この「制定」の文言を加えたことは、ほとんど気づかれず、議会で特別委員会の設置が決定しました。
 当時の特別委員会は12人で構成されていました。一般的な常任委員会の構成が9人でしたから、それだけ意見も多様になり集約が難しくなることも予想されました。そこで参考にしたのが、小泉元総理大臣の行政改革を進める原動力となった経済財政諮問会議の運営手法です。同会議では、会議の結論を出す期限を決めたり、工程表を示しながら会議を進めていました。
 6月定例会開催後、早速第1回の議会基本条例制定に関する特別委員会を開催しました。その場で、次の三つの確認事項について各委員の承認をとりつけました。

① 条例の提案は、2009年3月議会を目途とする。
② 今後の会議の進め方についての工程表を作成し、工程表にのっとって委員会を進める。
③ 条例案については作業部会を設けて案を作成する。

 ①の「目途」という文言は、最初はなかったのですが、「3月議会までに提案というのは乱暴だ」という意見を受け、その場で「目途」という表現を加えて各委員の了解を得ました。
 「いつまでに何をする」という目標を掲げて委員会を進めることは、それまでの議会の文化にはないものでした。また、一般的に第1回目の委員会というのは、席次を決めて自己紹介をして、といった形式的なものになることが多かったのですが、各委員が特別委員会の運営について関心が高まっていない時点で一気に方向性を固めようと、委員長として準備万端整え、第1回目の委員会を迎えました。最終的な締切りを設定し、そこに至るまでのプロセスを明示した工程表を作成しました。こうした工程表もブレーンストーミング形式でおおまかな方向性を決めて、その結果に基づき素案を作成するのが常道でしたが、今回は、委員長である私が最初から原案を用意し、その原案について議論をするという形式をとりました。ある委員は「そこまで委員長が決めてしまうのか」とビックリしていました。
 また、制定を目指すために、当初から条文の形で第1次原案を作成しました。例えば、同じ時期に条例案を作成していた千葉県流山市議会では、いきなり条文を書くのではなく、条例の論点をまとめた表を住民に対して提供していました。その論点について議論を行い、その後、条文化に取り組む手順でした。しかし、それでは工程表上、次年度3月定例会への提案には間に合いません。

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