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2024.04.25 仕事術

第19回 どうする常任委員会②

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元所沢市議会議員 木田 弥

 前回は、予算議案を付託されなくなった常任委員会は、所管事務調査権を存分に活用して政策提案を積極的に行っていこうという話をしました。さて、今回は、地方自治法(以下「自治法」といいます)にも明記されている請願審査です。改めて、自治法109条を確認すると、同条2項に「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する」(下線筆者)と定められているように、請願等の審査は、常任委員会の重要な仕事です。皆さんの議会では、請願等の審査はどのように行っていますか。

陳情の扱いは議会ごとに違う

 ちなみに、請願等の「等」が気になりますね。平成24年の自治法改正により「陳情等」の文言は「請願等」に改められました。細かな議論をするとキリがないので、この「等」は基本的に陳情と考えてよいでしょう。
また、自治法124条、125条では、請願の具体的取扱いを規定しています。「第124条 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない」。議会への請願は、議員の紹介が必須です。
 請願は、憲法16条でも保障された権利であり、「第16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」とされています。一方で、請願に対して、よしんば採択されたとしても、その内容を執行部が履行する義務は定められていません。
 以上のことからも、請願審査は、執行部に対する影響力はともあれ、制度的には重要な意味を持つということは認識しておいた方がよいでしょう。
 請願は、憲法の裏付けという重みもあることから、紹介議員がなくては常任委員会での審査対象にはなりません。一方、陳情は、現状の自治法においては、特に規定されていません。
 おのずとその扱いには違いがあってしかるべきなのですが、先ほども触れたように、平成24年改正前まで「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、陳情等を審査する」(下線筆者)と定められていた名残もあってか、陳情も請願と同様に、紹介議員がいないにもかかわらず、所管する常任委員会で審査している議会も少なくないようです。
 全国市議会議長会の「市議会の活動に関する実態調査結果:令和4年中」には、「請願と同様の扱いをした陳情の処理状況」が示されています。この調査によれば、全部で4,039件の陳情が「請願と同様の扱い」で処理されていることが分かります。
 一方で、「請願の処理状況」は全部で2,350件であり、紹介議員の要らない陳情の件数の方が、全体として多いことが見て取れます。あるいは、ローカルルールで陳情も紹介議員が必要という議会もあるかもしれません。陳情は、基本的には紹介議員が要らないという手軽さもあってか、陳情も請願と同様の扱いをしている東京のある市議会では、特定の住民が、自分たちが押し通したい陳情について、少しずつ内容を変えて複数の提案を行ったため、その陳情処理のためだけに常任委員会が複数日開催されたという話を、その市議会の議員から聞いたことがあります。 

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