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2024.04.10 仕事術

第18回 どうする常任委員会①

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委員会の視察先選定はテーマを持って目的も明確に

 さて、皆さんの議会では、どのような形で所管事務調査を行っていますか? この事務調査に該当するものの一つが、委員会視察です。議会によっては、実態として、所管事務調査≒視察となっている議会もあるようです。そうなってしまうのも、ある意味、仕方がない部分もあって、議会事務局の体制が充実していない議会では、議員の視察の準備や同行で手一杯で、視察以外の所管事務調査までは手が回らないという現実的な理由もありそうです。
 だったら視察なんかやめてしまえばいい、という人もいますが、やはり視察というのは議員活動のモチベーションの一つでもあることを私も否定しません。特に、会派の違う議員とは、視察の機会がなければ、なかなかじっくりと語り合うこともできませんし、また、同行してくれる議会事務局の職員の方と本音で話し合えるという意味でも貴重な機会だからです。
 私はお酒が飲めないので煩わしかったのですが、視察後の反省会と称する宴会も貴重な機会でした。最近では、事務局職員の負担軽減の観点から、夜の反省会を事務局が設定することはなくなったようです。また、所沢市議会が議会基本条例を制定するきっかけとなったのは、当時、数少ない議会基本条例の制定市議会であった京都府京丹後市への代表者会議の視察がきっかけでした。視察を渋る議員を「天橋立見てみませんか」と説得しました。京丹後市に行けば天橋立はすぐ近くです。実際に、京丹後市議会の当時の議長の熱意に影響を受けて、所沢市議会も議会基本条例制定の議論を始めることとなりました。やはり、視察では、先進事例を生み出した関係者の熱意に触れるということも重要です。ネットだけでは、そういった熱意は伝わらないと思います。
 せっかく視察に赴くならば、やみくもに視察先を選ぶのではなく、テーマを意識して視察先を選定することも重要です。皆さんの議会では、視察ありきで、常任委員会の所管事務調査に関係しそうな現場を脈絡なく選んで視察していませんか?
 2005年10月、有名な北海道の旭山動物園の場内をスーツ姿に議員バッジを着けた少し場違いなグループが闊歩(かっぽ)していました。もちろん、旭川市にとっては、観光客として夜には派手に宴会を開いてくれるし、支援者へのお土産も大量に買ってくれますから、貴重なお客さんであり、大歓迎でしょう。実は、私も同じような一団として旭山動物園を見学したため、その現場を目撃してしまったのです。そのときに、私たちのような議員視察ご一行様に数多く出くわしました。私たちの委員会は、旭川市ではなく、富良野市の家庭から出る生ごみとし尿を併せて処理する画期的な処理施設の視察が目的で、富良野市訪問の前日の宿泊が旭川市となり、その際に、夜の宴会まで時間があったため、有志で動物園を見学に行きました。
 このときの視察は、所属する市民環境常任委員会の所管である廃棄物処理がテーマでした。視察先としては、富良野市の施設以外に、札幌市のごみ処理場を公園にしたモエレ沼公園、同じく札幌市の生ごみ処理施設を見学しました。それまでは、視察といえばテーマはばらばらで、視察先ごとに対象とする所管事務が違うということもありました。それが一概に悪いとはいえませんが、視察に対する市民の視線が特に厳しくなったことや、所沢市議会では、常任委員会審査は年ごとに明確にテーマを掲げて所管調査をする体制に移行していったことから、視察先も年間テーマに沿った視察先を中心に選定することになっていきました。

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