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2024.04.10 仕事術

第18回 どうする常任委員会①

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議案や請願等の審査だけが常任委員会の仕事ではない

 では、常任委員会とはそもそもどのような仕事をする委員会なのか、改めて地方自治法に立ち戻って確認してみましょう。常任委員会について書かれているのは、地方自治法109条です。

○地方自治法
第109条 普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。
2 常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。
3~9 略

 2項には、「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い」とあり、その後に「議案、請願等を審査する」とあります。つまり、常任委員会が担当する事務に関する調査をするのが、役割の一つです。常任委員会の「所管事務調査」というのが、ここの調査に該当します。言い換えると、常任委員会には、「所管事務調査権」が与えられているとみなすこともできます。
 ただ、一方で気をつけなくてはいけないのは、この調査権は、通年議会制を採用していない議会では、正確には議会の開会中にのみ常任委員会に与えられている権利だということです。「閉会中に、所管事務調査をやっているではないか」という疑問も聞こえてきますが、閉会中の所管事務調査権を担保するために、議会の最終日に必ず各委員会から継続審査の申出を行い、本会議でその内容について諮るのです。
 その根拠となるのが、地方自治法109条8項です。同項には、「委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる」と定められています。この条文が根拠になって、申し出た部分については、閉会中も所管事務調査権が発動します。「これはあまり外で話さないでください」と議会事務局からよく釘を刺されていたのですが、所沢市議会の場合、かつて閉会中継続審査は、各委員会の所管事務すべてを対象にしていました。今は通年議会になったので、この手続は必要なくなりました。
 閉会中の所管事務調査権が発動していれば、委員長の権限で、継続審査の案件については、理論的には委員会が開催できますので、例えば閉会中に何か常任委員会を開会して議論すべき事態が生じた場合も、委員長権限で委員会を開催することができます。もちろん、特定事件に該当していなくてはいけませんが。視察についても、この閉会中の所管事務調査として実施されます。
 所管事務調査についてよく理解すると、なぜ通年議会が議会にとって必要かが理解できます。通年議会になれば、通年で「所管事務調査権」が発動している状態になりますし、以前の所沢市議会のように、すべての所管事務を特定事件として指定しなくても、特定事件以外も遠慮なく対象とすることができます。ところが、なぜか所沢市では、前市長と関係の深い元議員が、そのような事情も分かっていながら、反通年議会運動を前回の統一地方選挙前に始めました。誠に不可解な出来事でした。


 

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