2024.03.25 コンプライアンス
第92回 地方議会議員選挙における当選無効と議員報酬・政務活動費の取扱い
◯当選無効となった議員の提供した役務に対する反対給付の支給(行政実例昭和41年5月20日)
問 議員が公職選挙法第251条の規定により当選無効となり失職した場合には、当選の日から判決確定の日までの間提供した役務に対する反対給付の支給等に関し次のことにつきご教示下さい。
記
1 地方自治法第203条第2項〔現行法では該当なし〕において、非常勤職員に対する報酬は勤務日数に応じて支給されるべき原則を明らかにしているものと解し、失職した者の提供した役務に対する反対給付は、その者が議会開会中又は、特に付議された事件を常任委員会または、特別委員会が議会閉会中に審査する場合等の法に基づく職務執行のための勤務日数に対して日額により支給すべきか。
2 前例のほか、議会閉会中の審査の付託がなされていない常任委員長の招集による常任委員会、長の要請によって又は、議会の必要に基づいて議会閉会中の全員協議会等に出席、視察、陳情及び議長会等の会合出席のため出席した場合の勤務日数に対しても役務の提供があったものとして、日額の給付を支給すべきか。
3 第1号及び第2号により、日額の給付を支給するものとした場合当市においては条例に基づいて月額による報酬を支給しているが、この月額の日割相当額を給付として支給することは妥当と考えられるか。
4 地方自治法第203条第2項〔現行法では該当なし〕においては、議員の報酬について勤務日数に応じて支給されるべき原則を全く除外しているものと解してよいか。
然りとするならば、当市においては条例に基づいて議員の報酬は月額によって支給しているが、第1号及び第2号に掲げる勤務日数が1の月において全くない場合においても役務の提供があったものとして報酬月額に相当する額の給付を支給すべきか。
5 当市においては、条例に基づいて議員に対して、期末手当を支給しているが、期末手当は常時勤務する者又はこれに同じ状態にある職員の一定勤務期間における報償的性格を有するものと考えるが、第1号及び第2号による場合には全く支給する必要はないと解してよいか。
又、第4号により反対給付が支給されるものとした場合にはその全額を支給すべきか。
6 第1号から第5号までにより反対給付を支給することとなった場合において、非常勤の特別職の職員に対する報酬及び手当として支給することは適当でないと解するが、この場合歳出予算に係る節の区分中いずれとすべきか。
答1ないし6 当選無効により失職した議員が提供した勤務により受けた地方公共団体の利益と、地方公共団体が支給した報酬その他の給付を受けた当該失職議員の利益との間に差があると認められる場合には、その限度において、不当利得返還請求権を有することになる。しかし、一般的には、その勤務と給付は均衡しているとみられるのが通常であり、その場合は、不当利得返還請求権も生じないことになる。不当利得返還請求権が生じない場合においては、予算措置を講ずる必要はない。