2024.03.25 ICT活用・DX
第20回 地方議会における生成AI活用の可能性~早大マニフェスト研究所 議会事務局職員向け「デジタル活用研修会」~
生成AIが議会の「事務的な仕事」、「分析的な仕事」、「創造的な仕事」を解決する
米国OpenAI社によって開発されたChatGPTが注目されている。ChatGPTは、AIにより、人間のような自然な会話を生成することができて、質問の回答、文章の作成、情報の収集分析等、多岐にわたるタスクをこなす。今後、地方議会においても、様々な場面での積極的な活用が期待される。
今回は、筆者が招聘研究員を務める早稲田大学マニフェスト研究所が、2月16日にオンラインで開催した、議会事務局職員向けデジタル活用研修会(全国87の議会事務局が参加)、「議会事務局職員が知っておくべき生成AI」の内容を紹介するとともに、地方議会における生成AIの活用の可能性について考えたい。
研修会では、デジタルハリウッド大学の橋本大也教授による、「デジタル時代の政策立案とまちづくりに革命をもたらすChatGPT活用法」というテーマの特別講演が行われた。講演の冒頭、橋本教授は、自治体、議会が従来行っている「事務的な仕事」、「分析的な仕事」、「創造的な仕事」を、生成AIが解決できるとの見方を示した。
「事務的な仕事」に関して、議会ホームページの会議録検索システムにある議事録を箇条書きで要約したり、マインドマップで図式化する方法を紹介した。また、ChatGPTのカスタム機能を使用して議員や市長の1年分の議事録を学習させ、双方のチャットボット(自動会話プログラム)を作成し、政策比較やテキストマイニングを行う例や、ChatGPTを用いて市民ペルソナ(サービス対象となる具体的な市民像)を作成し、それぞれに適した政策メッセージやFAQ(よくある質問)を作成する方法も紹介した。
橋本大也デジタルハリウッド大学教授
次に「分析的な仕事」について、ChatGPTの高度データ分析機能を利用してファイルを読み込み分析し、結果をグラフ化したり、分析結果の要約文を作成するデモンストレーションが行われた。具体的には、総務省の家計調査データ等のオープンデータを活用した例が示された。
「創造的な仕事」においては、ChatGPTの画像生成機能を使って、ご当地キャラクターのイラストや紹介文を様々なパターンで迅速に生成する能力が紹介された。