2024.01.12 コンプライアンス
第91回 オンラインによる質問・質疑の是非/招集された会議の告示変更の是非
招集された会議の告示変更の是非
市長が9月定例会の招集告示を8月31日に行い、9月7日に招集することとしたが、9月7日に台風が当該市を直撃し、暴風雨となる可能性がある。この場合、招集日に応招議員が半数未満となってしまうおそれが高いことから、定例会の招集日を変更したいと考えているが可能か。
議会の招集については、定例会・臨時会を問わず、法101条1項により長が原則として招集し、また招集に当たっては法101条7項により、都道府県及び市にあっては開会の日の7日前、町村にあっては3日前までに招集告示を行うことが義務付けられている。ただし、会議を長が招集をするに当たり緊急を要すると判断すれば、開会の日前の所定の日数を必要としないことが可能であるが、招集告示を行うことは絶対である。
なお、臨時会の招集の場合、定例会の招集の場合と異なり、臨時会に付議すべき事件を長は法102条4項に基づきあらかじめ告示することとされているが、この告示と招集告示は同時に行わなければいけないものではなく、さらに、臨時会に付議すべき事件の告示は法101条7項における開会前の日数の適用を受けないことに留意が必要である。
【法101条】
① 普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の長がこれを招集する。
⑦ 招集は、開会の日前、都道府県及び市にあつては7日、町村にあつては3日までにこれを告示しなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
【法102条】
④ 臨時会に付議すべき事件は、普通地方公共団体の長があらかじめこれを告示しなければならない。
ところで、令和4年12月16日に施行された法101条改正前までは、行政実例昭和26.9.10において、長が招集告示をした場合、当該招集告示を変更することは原則としてできないとされていた。これは、告示行為が行政法における準法律的行政行為に該当し、変更を行うことができないと考えられていたからであり、長による安易な告示後の招集日の変更を認めると、長が議会を自らの都合により運営することを許すことにつながると考えられたためである。