地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2024.01.12 仕事術

第14回 どうする定数③

LINEで送る

何があっても定数は削減、現状維持も認めないとある委員が主張し始める

 第2回の審議会は、平成24年7月30日に開催されました。各委員の主張も鮮明になり始めます。
 当初は、資料に対する質疑が中心でした。また、過去の議員発議による定数削減条例についてD委員から「平成22年12月定例会の11月30日に請願第4号で議員定数の削減を求める件が無記名投票により不採択とありました。平成18年には議員提出議案で2名削減を求めるというのもあり、同じく無記名で採決が行われたとありました。……なぜ無記名採決を行う必要性があったのか。自身の政治信条や公約を果たすのであれば、無記名で行う必要性はないのではないか。市民は政治に対して透明性、公平性を求めておりますので、もし無記名で投票を行うのであれば、その根拠をぜひとも教えていただきたいと思います」等の質問がありました。これに対して、当時の西沢議会運営委員長から「議案に対しては無記名で投票したほうが議員個人の正確な意思表示を実現できると判断する場合は、無記名投票に多くの方が賛成するし、逆にこれは名前を書いて投票したほうが、自分達の判断を正確に反映できるとした場合には、記名投票にするというふうに議会運営委員会で議論をしながら投票方法については決めております」と回答がありました。
 いくつかの質疑を経ながら、廣瀬会長とA委員、B委員で草案をまとめるところまで全委員の了承を取り付けます。その後、審議会も次回日程の提案という段階になって突如、C委員が「地域や議員さん達の意見を聞いていると、個人の意見としてはやはり削減という形で持っていってほしいと思います」、「所沢の財政も厳しい状況だと思います。議員定数をなんとか減らせれば、市民のほうに少しでも教育や福祉などいろいろな面においてできるのではないかという個人的な考えですが、現状維持や減らさないということではなく、減らしてほしいということです」と主張し始めました。別の委員からの「根拠は財政が厳しいからということですか」という問いに対してC委員は、「財政も厳しいと思いますが、議員が多くいれば民意の反映がよりできるということではないと思います。議員の数が少なくなって議員の活動が厳しくなるということも考えられないと思います。過去にも36人から33人になってその人数で活動できた状況が今までにあったので、削減の方向です。現状維持とふやすことについては反対です」と重ねて主張します。これまでの議論の経過を無視したちゃぶ台返しの主張です。
 廣瀬会長からは、「ここが決定の場ではないということで、あくまで議会に対して判断材料を提供するということと同時に、こういう機関で議論をしてこんな根拠、こういう論点がありますということを示したことを議会として一旦踏まえていただいた上で、今度はそれを市民に投げかけていただいた上で、改めてそこでの市民と議会との意見のやりとりの中で最終的に結論が出されていくということが望まれるんだと思います。そのときの判断材料として、有益に生きるようなものを作るというのが我々の目指すべき方向だと思います」とのまとめのコメントがありました。
 私としては、どのようなタイミングでC委員が上記の主張をし始めるかは見当がつきませんでしたが、必ずこのような主張をすることは織り込み済みでした。C委員については、定数削減強行派の市議会議員とも頻繁に接触していたことも確認していました。
 さらに、それまでは本音は削減賛成派だったと思われるD委員も、C委員の発言以後、勢いづきます。
 一方でA委員も、C委員の流れをわきまえない主張に対して、相当不満を持っていることが伝わってきました。もし、C委員の主張に沿った形で答申案がつくられた場合、A委員は、答申を待たずに審議会を辞める勢いです。もはや審議会そのものが空中分解寸前でした。こんなことなら背伸びして審議会など設置しなければよかった、という思いが募っていきました。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る