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2023.12.25 仕事術

第13回 どうする定数②

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まずは審議の工程表を確認後、審議会設置条例を制定

 最終的に「あり方審議会」から答申が出されたのは、平成24年11月29日でした。答申に至るまでの経過について、順を追って説明します。
 まず、「あり方審議会」を設置するには、「あり方審議会」を設置するための条例を制定する必要がありました。そこで、平成24年3月議会で「所沢市議会議員定数のあり方に関する審議会設置条例」を議員提案し、全会一致で可決しました。
 簡潔な条例ですので、全文を掲載します。
 

○所沢市議会議員定数のあり方に関する審議会設置条例
(設置)
第1条 所沢市議会基本条例(平成21年条例第1号)第23条の規定に基づく附属機関として、所沢市議会議員定数のあり方に関する審議会(以下「審議会」という。)を置き、その組織及び運営に関しては、この条例の定めるところによる。
(所掌事項)
第2条 審議会は、所沢市議会(以下「議会」という。)の議員定数のあり方に関する必要な事項について、議会の諮問に応じて審議し、及び議会に意見を申し出ることができる。
(組織)
第3条 審議会は、委員5人以内で組織する。
(委員)
第4条 委員は、知識経験を有する者その他議長が必要と認める者のうちから、議長が委嘱する。
2 委員の任期は、平成24年12月31日までとし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第5条 審議会に、会長を置く。
2 会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、審議会の会務を総理し、代表する。
4 会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を行う。
(会議)
第6条 審議会の会議は、会長が招集し、その議事をつかさどる。
2 審議会の会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4 審議会の会議は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(事務)
第7条 審議会の会議の事務は、議会事務局において処理する。
(委任)
第8条 この条例に定めるもののほか、審議会会議の運営その他審議会に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(この条例の失効)
2 この条例は、平成24年12月31日限り、その効力を失う。

 この条例のポイントは三つ。まず、条例の期限を「この条例は、平成24年12月31日限り、その効力を失う」(附則2項)と定めたことです。これによって、「あり方審議会」は、平成24年内に答申を出すこととなりました。実際に答申が提出されたのが11月29日であったことは、先述のとおりです。
 委員の任期も、「委員の任期は、平成24年12月31日まで」(4条2項)と定めました。この二つの取り決めは、審議がだらだらと続かないようにするための歯止めでした。終わりが決まっていれば、「大事なことだからもう少し丁寧に議論をしよう」という一見まともに見えて、実は自分に不都合な結論を導きたくない人々の妨害を排除できます。そもそも議会において会期が決められているのも、一定期限に向けて決めなくてはならないためであり、決めることが議会の仕事だからです。不十分な情報の下、熟慮を重ねつつ、しかし決定を下す。そしてその決定に責任を負うことが、議会の役割です。
 所沢市議会では、そうした妨害を防ぐために、議会基本条例制定時にも工程表を作成して、議論を進めてきました。この「あり方審議会」を進めるに当たっても、同様に工程表を作成しました。条例制定時から、答申は12月定例会までに提出いただくことと決めていました。そのためには第1回が5月、第2回が7月、第3回が10月と、各定例会の間に3回開催することが必要です。工程表は、「あり方審議会」を所管する議会運営委員会で合意をとりました。この合意に基づき条例の期限が定められました。
 二つ目は、委員の数を5人以内としたことです(3条)。これも、委員の数を増やすことにより、議論が散漫になることを憂慮したためです。5人だと住民の多様な意見の反映は難しいのではないかという議論もありましたが、答申を受けて、もし議会が定数条例を改正提案をした場合も、その後、意見提案手続(パブリックコメント)及び公聴会を実施するなどの意見聴取の機会を設けることを工程表には盛り込んであり、市民の多様な意見を受け止める体制を整えることとしていたことから、議員各位には理解してもらいました。
 三つ目のポイントは、「委員は、知識経験を有する者その他議長が必要と認める者のうちから、議長が委嘱する」(4条1項)としたことです。この条文は、議会運営委員会でも非常にもめた部分でした。議員も、定数を削減したい議員、減らしたくない議員、むしろ増やすべきだという議員など立場は様々でした。特に、委員が学識経験を有する者だけに限定された場合、定数削減が答申に盛り込まれない可能性が高いという懸念が、定数削減を求める議員の一部にはありました。最終的には、学識経験者が2人、その他団体の代表が2人、さらに自薦市民1人を公募で選ぶことになりました。自薦市民としたのは、公募委員という名称にしてしまうと、当人があたかも市民の代表のような錯覚を持ってしまうことが、執行部の公募による審議会などの委員にしばしば現象として見られたため、あえて自薦市民という名称にしました。
 学識経験者と団体の代表2人は、議会運営委員会で選出。自薦市民については公募することとなりました。公募に当たっては、当人の履歴だけでなく、自薦市民への応募動機なども提出していただきました。複数人からの応募があったのですが、様々な条件を勘案した結果、応募者の中で最も若い男性が選ばれました。
 「あり方審議会」の会長には、所沢市民でもあり、地方議会にも精通している学識経験者である法政大学の廣瀬克哉教授が選出されました。その後も議論をリードしていただきました。廣瀬先生には、所沢市議会基本条例制定時から折に触れて所沢市議会にご指導をいただいてきました。

 

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