2023.11.27 政務活動費
第8回 大学院の学費/収支報告書提出後の訂正の是非/携帯電話代
収支報告書提出後の訂正の是非
議員又は会派に交付された政務活動費は条例に基づき、領収書又はこれに準ずる書類を添付して年度ごとに収支報告書を作成し、議長に提出する義務がある。ここで、議長に対して提出された政務活動費の収支報告書のうち、違法又は不適切な支出が判明した場合、当該収支報告書の訂正が可能か疑義が生じる。
名古屋高判令和4年7月27日及び名古屋高判令和2年1月15日において、政務活動費の交付に関する条例及び同規則において、収支報告書の提出後に訂正が認められないとする規定は存在しないとし、また政務活動費の支出に誤りがあった場合、収支報告書提出期限後の訂正は使途の透明性確保の観点から認めるべきものであるとしている。
【名古屋高判令和4年7月27日(原審・金沢地判令和4年2月18日)】
議員は、同項で定める提出期限までに、正確な内容が記載された収支報告書等を提出すべきであるといえる。
しかし、本件条例には、提出期限後に収支報告書を訂正することが許されない旨の定めはないことに加え、収支報告書の記載内容に誤りがあることが事後的に判明した場合に、提出期限後の訂正が一切許されないとすると、かえって政務活動費の使途の透明性の確保が困難となるおそれがあることに照らせば、提出期限後の訂正が一律に禁止されていると解することはできない。
【名古屋高判令和2年1月15日(原審・金沢地判令和元年8月8日)】
収支報告書について、その提出期限後の訂正が許されない旨の定めはないことに加え、議員が提出した収支報告書に記載された使途が実態と異なるなど、その記載内容に誤りがあることが事後的に判明した場合に、収支報告書の提出期限後の訂正が一切許されないとすると、かえって政務活動費の使途の透明性の確保が困難となる恐れがあることに照らせば、収支報告書の提出期限後の訂正が一律に禁止されていると解することはできない。