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2023.10.25 広報広聴

第18回 「対話する議会・議員」が地方議会の未来を開く~「SOUNDカード(TM)」を活用した「議員間の対話」の可能性~

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「議員間の対話」での「SOUNDカードTM」の活用事例

(1)山形県酒田市議会
 酒田市議会では、2021年10月の改選後、三つの常任委員会単位で、委員の任期2年間で少なくとも一つの政策提言を実施しようとしている。2023年5月、筆者が行った研修の際には、「SOUNDカードTM」を活用して「政策提言の進捗状況について」のテーマで、他の委員との情報共有や今後の取組みについての対話を行った。
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酒田市議会

(2)宮城県柴田町議会
 柴田町議会では、「議会基本条例」に基づき、その評価・検証を2年に一度実施している。筆者は議会アドバイザーの立場で、議会の評価に対する第三者評価を行っている。2023年5月の第三者評価の講評後、「SOUNDカードTM」を使用して「柴田町議会について」のテーマで議員間の対話を行った。ワールドカフェを利用した議員間討議がこれまで実施されてきたが(連載第3回「予算審査における『議員間討議』に『ワールドカフェ』を活用」)、今回はより深い対話ができたと感じられた。
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柴田町議会

(3)青森県階上町議会
 階上町議会はまだ「議会基本条例」を制定していないが、2023年4月の改選後、基本条例の制定を目指している。8月には筆者が研修を行い、「SOUNDカードTM」を使用して「階上町議会について」のテーマの下、全議員で、議会に対する思いを共有した。この取組みにより、各議員の議会に対する深い思いが共有され、基本条例制定に向けて前進することができた。
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階上町議会

(4)岩手県遠野市議会
 遠野市議会では、コロナ以前から議会と市民との意見交換会の開催方法に課題を抱えていた。対面式で開催すると発言者が偏り、陳情や要望合戦になる傾向があった。ワークショップ形式で開催すると全員が発言できるようになるが、高齢者の中には慣れない人もいる。これらの課題に対処するため、2023年8月に筆者が「SOUNDカードTM」を使った市民との対話の手法の研修会を開催した。研修後の9月には議員がファシリテーターとなり、高校生との意見交換会を「SOUNDカードTM」を利用して開催している。
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遠野市議会

(5)兵庫県丹波市議会×丹波篠山市議会
 隣接する丹波市議会と丹波篠山市議会では、毎年合同の議員研修会を開催してきたが、これまでは議員同士の意見交換は行われていなかった。しかし、2023年8月に筆者が講師として招かれ、「政策サイクル」についての講演の後に、「SOUNDカードTM」を利用し、「丹波市議会について、丹波篠山市議会について」のテーマで両議会の議員が交流し、それぞれの議会の現状やありたい姿について対話を行った。この対話は両議会の議員にとって新しい気づきを提供するよい機会となった。
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丹波市議会×丹波篠山市議会 議員研修会

「対話」と「協働」が「チーム議会」の前提

 筆者が、「対話する議会・議員」の話をすると、「対話で全ての問題を解決することができるのですか?」と質問されることがある。
 対話によって全ての問題を解決することは難しいかもしれないが、「厄介な問題」であればあるほど、その問題は一人では解決できず、皆で解決していかなければならない。対話はその「協働」の基盤となる。対話を通して、「私たちにとって、こういうことだよね」、「そうそう」という感覚が生まれてメンバー間の理解が深まり、「じゃあ、様子見せずに、皆でやってみようか」といった共通の意識が生まれるからである。
 対話により、議会の一体感、そして「チーム議会」の雰囲気が確実に醸成される。
 

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