2023.09.25 仕事術
第8回 どうする決算審査①
決算審査は、予算審査の委員会のように全議員が参加するという議会は少ないようです。私の場合は、4年に1回、4期市議会議員を務めましたから、都合4回経験しました。一方、少数会派に所属し、会派ごとに委員が割り当てられる場合は、4年の間に複数回経験する可能性もあります。4年に1回となると、オリンピック並みに貴重な機会です。
決算審査ばかりは、1回こなしてみないと具体的な様子がつかめません。しかも、下手をすると、4年間、間が開くことになりますので、「あれ? 決算審査ってどんな審査方法だったのかな」と思い出すのにしばし時間を要します。さらに、予算書と決算書は微妙に形式も違い、予算書はさすがに毎年見ていますから勘所がつかめるのですが、決算書は自分が決算審査の委員会に所属しない場合、すべての頁に目を通すこともないため、決算書の形式に慣れるのにも若干時間を要します。
また、決算審査に関する委員はうまみが少なく、人気は高くないのも事実です。
決算審査にうまみがない理由としては、例えば、予算審議や一般質問であれば、政策提案の要素も強く、ありていにいってしまえば、議会活動レポートのネタにしやすいという利点がありますが、決算審査の場合は、質問内容を議会活動レポートなどで取り上げても、住民の皆さんにとっては終わったことなので、面白みがないということが挙げられます。
決算審査にうまみをもたらす方法をこれから紹介するのですが、そのためには、そもそも決算審査とはどういう性質の審査なのか、ということから始まって、予算の組立てがしっかり頭に入っていないと、新人議員には、十分な審査はほぼ不可能といってよいでしょう。
できれば議員1年目は、決算審査委員は遠慮させてもらおう
決算審査委員はあまりうまみがないということもあり、先輩議員に「いい勉強になる」といいくるめられて、1年生議員に会派内でお鉢が回ってくる可能性もあります。
しかし、前年度の予算審議に関わっていない予算の決算審査をするのは、ハードルが高いといってよいでしょう。もっとも、前職が執行部の職員で、かつ財政担当だった場合は、その限りではありませんが。
ほとんどが新人議員という会派でなければ、1年目の議員を決算審査委員に任命するというのは、基本的には考えにくい選択です。もちろん、決算を通じて予算を学ぶという考え方もありますが、そうだとしたら、決算審査を傍聴すればいいだけのことです。深い考えもなく新人議員を決算審査委員に充てる会派に所属しているとすれば、以上の理由から、なるべく早くその会派を抜け出すことを検討した方がいいかもしれません。
また、予算・決算を同一委員会で扱う議会では、特に4月の統一地方選選出の新人議員は、予算・決算委員会に割り振られることは、予算について来年の3月議会で、時間をかけて審議できる可能性が高まる点では歓迎すべきですが、決算審査が先行して行われる点は厄介です。予算を本格的に審査したいという「はやる気持ち」は分かりますが、やはり1年目は避けた方が無難です。
その代わり全日程を傍聴して、まずは審査方法の流れや質問のポイントなどを理解しましょう。決算審査の対象は、当然、前年度予算についての決算ですから、前年度予算についても理解が深まり、3月定例会の予算審査にも役立てることが可能です。
また、当然ながら、決算審査で疑問に思った点は、本会議場で改めて委員長報告に対する質疑という形で質疑を行うことも可能です。もし自分が委員だとしたら、聞きたかった項目について質疑がなかった場合、「この項目についての質疑はなかったのか」とか、あるいは「こういう質疑があったが、執行部の答えは事実認識が間違っているのではないか」などです。もちろん、決算審査のための委員会に付託する前に、本会議での全体審議で質疑を行うことも可能です。特に、自分は決算審査の委員ではないけれど、しっかりと確認してほしいという点については、全体審議で質疑しておき、決算審査の委員会に向けて、注意を向けてもらうという方法もありますが、この技は新人議員にはちょっとハードルが高そうです。
ではこれから、様々な経緯があって決算審査の委員会に所属することとなった新人議員のためにも、あるいは、決算認定の、若しくは不認定の参考とするためにも必要となる、決算審査のポイントをお伝えします。