2023.09.25 仕事術
第8回 どうする決算審査①
元所沢市議会議員 木田 弥
決算審査はうまみがない?
9月から11月にかけて、新人議員の皆さんにとって初めての決算審査が行われます。決算審査の流れは、まず議案として、地方自治法96条1項3号「決算を認定すること」に基づき、決算認定を求める議案が議会に上程されます。決算審査は、審査する内容も膨大なため、たいていの場合は、別途、決算審査のための委員会が設置され、そこでより詳細な審査が行われます。委員会に付託する前には、本会議場での決算認定議案に対する質疑が行われます。決算審査のための委員会に所属しない議員は、ここで質疑を行います。ただ、委員会に付託されることがあらかじめ決められるため、ここでの質疑は形式的なものにとどまることが多いようです。
決算審査のための委員会は、地方議会ごとに様々なバリエーションがあります。全国市議会議長会調べによる令和5年度「市議会の活動に関する実態調査結果」(1)33頁によれば、決算審査常任委員会17市、決算審査特別委員会499市、予算・決算審査常任委員会149市、予算・決算審査特別委員会32市となっており、決算審査特別委員会ないしは常任委員会の形式で審査を実施している市が約7割です。最近は、予算・決算を一体の委員会で審査する議会も増えているようです。
また、決算審査の日程は、例えば埼玉県三芳町の場合、9月議会の日程に決算特別委員会の日程を組み込み、9月議会中に決算認定を終える日程案となっています(2)。
あるいは我が市議会のように、9月議会において決算審査特別委員会を編成し、閉会中の審査を実施。その結果を12月議会で報告して認定する例もあります。我が市議会でも、9月議会を会期延長して、9月定例会中に決算認定を終えることは可能か検討したことがあります。しかし、予算規模も大きいため、9月議会までには執行部の決算案が確定しないという執行部からの要請もあり、従来どおり行うこととしました。
一方で、我が市より人口が多い松戸市議会の9月議会では、やはり9月定例会中に決算審査特別委員会を組み込んでいます(3)。
この連載を目にされる頃には、すでに決算審査及び認定は終了してしまった議会もあるかもしれません。そういう議会の方々は、来年度の決算審査の参考にしてください。
基本的には、決算審査とその認定を9月定例会中に済ませてしまう地方議会は、以前に比べて増えている印象です。決算の認定が早くなされるメリットとしては、次年度予算に決算の結果を反映しやすいという点があります。特に、決算に附帯決議を付した場合、あるいは不認定の場合、12月定例会で認定する議会では、決算審査が終わった後には、すでに次年度予算の骨格ができていて、決算についての議会意思の反映ができない可能性もあります。こうなると、決算審査の予算への結果反映は2年先になる、その頃には決算審査の内容も議員は忘れてしまう、ということでした。もっとも、我が市議会のように予算の修正がタブーになっていない場合は、議会が決算日程で指摘した事項が反映されていなければ、次年度予算で該当箇所の予算修正をすればいいだけのことなのですが。
いずれにせよ、決算と予算の連動及び予算・決算に関する委員会の一本化というのは、議会発のPDCAサイクルを機能させるためにも重要であるため、最近とみに重視されてきている項目ですので、決算認定が早まることは基本的にはよい傾向と考えてよいでしょう。