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2023.07.10 仕事術

第4回 どうする議長選②

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議会の開会は午後4時35分

 そして6月定例会初日を迎えました。なぜか我が会派のたくらみが漏れてしまったようで、朝から不穏な空気が流れます。確証はないのですが、状況を総合すると、どうやら我が会派の内部から情報が漏れたようです。
 通例であれば、初日は10時開会のはずが、いっこうに開会のベルが鳴りません。当日の議事運営を決定する議会運営委員会が9時30分から開かれるはずですが、それも開かれません。そして、我が会派の代表に対する叛意(はんい)を促す働きかけが水面下で行われました。しかし、我が会派の代表は全く動じません。
 そうしてジリジリと時間が過ぎてゆき、ようやく午後になって議会運営委員会が開催されました。当時の議会運営委員長は、後に会派を同じくすることになるD議員です。その頃は、対立陣営ということもあり、私も勇躍、議会運営委員会に乗り込み、「こんな委員長は解任だ」と叫びました。後にこのD議員から、「こんな抗争には付き合っていられない」と思ったので、「さっさと議会運営委員長の辞任届を議長に提出した」という話を聞きました。そのため、以後は議会運営委員会の副委員長が、委員長の代理として取り仕切ることになります。
 このまま午後5時を迎えてしまうと自然閉会になるので、まずは議会を開会しようということで、ようやく午後4時35分に議会を開会。開会後は、選挙管理委員に新たに就任した方の挨拶がありました。この方は、本来であれば朝10時にはさっさと挨拶を終えている予定でした。この方を待たせるのは失礼ということで、就任挨拶をしていただき、4月1日付けの人事異動で部長になった方の挨拶も続きました。さらにその後、会議時間の延長を宣言しました。ここで「暫時休憩」に入ります。公式記録では午後4時36分に閉会となっていますが、さすがにすべて1分でこなせたとは思えません。それだけ事務局も混乱していたのでしょう。
 その後、我が陣営は、議長選挙を円滑に進めないA議長に対する不信任案を提出。不信任案についての議会運営委員会が開催されます。今でもはっきり覚えているのが、A議長の議会運営委員会での冒頭挨拶です。「ただ今、私に対する議長不信任案が提案されたので、ご審議をお願いいたします」。A議長はひょうひょうとした方で個人的には信頼していましたが、本来であれば会派の思惑から離れて行動するべきでした。
 当然、我が陣営は過半数以上を握っていることから、議長不信任案も可決する勢いです。
 ここで、対立陣営は、我が会派の叛意が見込めないと見切ったことから最後の手段に出ます。議会運営委員会中に中道会派の伝令役の議員が、議長に「ちょっと戻ってきて」と声をかけ、いったん議会運営委員会を中断。その後、会派の部屋に引きこもり、午後12時まで出てこず、議会は自然閉会となりました。
 午後12時を過ぎて、中道会派のリーダーで、おそらくこの自然閉会のシナリオを主導した議員が、「ああ、終わった、終わった」といって何事もなかったかのように、会派の部屋を出てきたときは、不思議と怒りは湧き起こらず、何ともいえないおかしさを感じたと同時に、ああこの1日は何だったのだろうという徒労感もどっと湧いてきました。

自然閉会のその後

 さて、このようにして、2005年第2回(6月)定例会は自然閉会しました。我が陣営としては、次に議長を決める議会でも、B議員を推す予定でした。ところが、当初は議長への就任を切望していたB議員が、どうやら各方面から圧力を受けたようで、もう議長選挙には出ないと言い出したのです。その顔は憔悴(しょうすい)しきっていました。
 そこで、我が陣営は、善後策として我が会派のE議員を議長候補とすることにしました。
 6月21日に、2005年6月臨時会(第1回)が開会。初日に行われた議長選挙では、結果的に我が会派のE議員は18票、対立陣営が擁立したF議員が17票で、我が陣営が勝利しました。おかげで我が会派が議長選出権力及び議長を握ることとなりました。
 続いて行われた副議長選挙では、当初の予定どおり、我が会派はC議員を支援。ところが、議長選とは違い1票差でC議員は、同じく女性で党派には属さないG議員に敗れました。何とも微妙な結果となってしまいました。
 また、議長選への立候補を辞退したB議員は、議会内では議長、副議長に続くステータスを有すると位置付けられている監査委員に就任。また、中道系会派のリーダー議員であり、かつ議会の親玉の一人とも目されていたH議員も監査委員に就任。一説には、B議員の監査委員就任は、議長選への立候補をとりやめることに対する補償であったともささやかれていましたし、H議員はB議員が暴走しないためのお目付役として同時に監査委員になったのではないかという見立てをする声もありました。本当のところは分かりません。

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