2023.06.26 広報広聴
第17回 誰でも、どんなことでも遠慮せずに言える、新しい「議会と住民との意見交換会」のあり方
任期4年を市民とともに振り返る、滝沢市議会の「議会フォーラム」
滝沢市議会では、任期4年を通じた議会としての活動を市民に報告、共有し、これからの市民と議会の関わりを一緒に考える場として、「議会フォーラム」を4年に一度開催してきた。3回目となる今回は、19人の議員と、高校生から高齢者まで67人の市民、総勢86人が参加。市民の中には、高校生が9人、大学生が16人、そのほかにもPTAや保育園関係者等、若年層が多く参加した。
前半は、藤原治副議長より4年間の活動報告として、今任期に積極的に取り組んできた「政策サイクル」に関して、2022年3月に市長に提出した「若者定住に関する提言」の取りまとめと、2023年3月の予算審査の際に行った、提言の予算や事業への反映状況のフォローと付帯決議についての説明があった。報告後には、元議会事務局長の太田晴輝さん、大正大学の江藤俊昭教授、2人の議会アドバイザーからコメントをもらった。
後半は、「滝沢市議会について」をテーマに、市民と議員の対話の場が、過去2回同様、議会アドバイザーの筆者がファシリテーターを務め、ワールドカフェの手法で行われた。今回新たに工夫した点は、高校生、大学生の参加も多く、世代間のギャップもあるので、「SOUNDカードTM」を用いて、心理的安全な場づくりを心がけたことである。また、実施に当たっては、事前に議員のみでの練習会を開催して臨んだ。
SOUNDカードTMの練習会
各テーブル4~5人ずつの19テーブル(議員が1人ずつ入る)に分かれて、ラウンド1では、Sのカードで対話を行い、席替えをしてからのラウンド2では、Oのカードで対話を行った。
Sのカードには、(このテーマに関連して)「あなたが常々思っていることは何ですか?」、「最近、あなたが注目に値することは何ですか?」等の問いが書かれている。選んだ参加者は、「議会が何をやっているか分からない」、「議会が政策提言を行っていることにびっくりした」等の、忌憚(きたん)のない率直な意見が出されていた。
SOUNDカードTMの様子
SOUNDカードTMの様子
Oのカードには、「○年後の私たちにとって何が当たり前になっている世界/社会を創り出したいですか?」、「私たちはどんな関係性になっていたいですか?」等、少し難しい問いがある。選んだ市民は、頭を絞って、「市民から議会との距離感を縮め、市民の声が届くようにしたい」といった思いが語られた。
SOUNDカードTMの様子
SOUNDカードTMの様子
フォーラム終了後、日向清一議長は、次のように手応えを語っている。「若い人が生き生きと話し、いろいろな意見が聞けた。年配の参加者の方々も喜んでいた。前回は話す人が偏ったりしていたが、今回は、SOUNDカードTMの効果もあり、年代に関係なく、皆が積極的に思いを話していた」。
心理的に安全な「議会と住民との意見交換会」が住民自治の起点となる
前述のとおり、エイミー・エドモンドソンは、心理的安全性は、チームの学習やイノベーションを促進し、チームのパフォーマンスや創造性に良い影響を与えるとしている。
では、議会と住民との意見交換会が、心理的安全な場になったらどうなるか。参加者が自由に意見を述べ、創造的に取り組むことができる環境が整うことで、地域の課題に対する多様な視点が持ち寄られ、新たな解決策が生み出される。参加者が互いを尊重し、共感し合う環境になり、より深いつながり、協力的なチームが生まれ、共通の目標に向けて協働していく土壌がつくられる。まさに、議会と住民との意見交換会が、地域の民主主義や住民参加の基盤を強化し、住民自治の起点になる。
今後も、滝沢市議会の「議会フォーラム」のような、「SOUNDカードTM」を使った議会と住民との意見交換会の実践を積極的に行っていきたい。