地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2023.06.26 広報広聴

第17回 誰でも、どんなことでも遠慮せずに言える、新しい「議会と住民との意見交換会」のあり方

LINEで送る

「心理的安全性」と「議会と住民との意見交換会」

 「心理的安全性」とは、組織やチームの中で、率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも、誰もが気兼ねなく言える状態のことを指している。具体的には、「それ、おかしくないですか?」、「私はこうした方がいいと思います。なぜかというと……」、「ちょっと分からないので、教えてもらえませんか?」等といった発言が、自由に出てくる状態である。
 社会心理学者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソンは、心理的安全性は、チームの学習やイノベーションを促進し、チームのパフォーマンスや創造性に良い影響を与えるとしている。しかし、心理的に安全な場をつくることは簡単ではない。無知だと思われたくない、無能だと思われたくない、邪魔だと思われたくない、否定的だと思われたくない、そんな不安が、遠慮せずに話すことを邪魔してしまう。
 議会と住民との意見交換会においても、議員と住民が向かい合った対面式での開催では、声の大きな一部の市民による、苦情、陳情、要望、個人的な見解の演説になってしまいがちだ。そうした場は、心理的安全性が欠けており、その他の多くの参加者は発言を躊躇(ちゅうちょ)してしまう。第15回(「『議会報告会(住民との意見交換会)』を議会からの『政策サイクル』の起点に」)で紹介した、「ワールドカフェ」のようなワークショップ形式の開催方法に変更した場合には、対面式より発言者は増え、場の雰囲気は良くなるが、進行を担うファシリテーターがいくら心理的安全な場づくりを意識しても、発言してくれない参加者がいたり、発言したとしても当たり障りのない表面的な話になってしまうことがある。

「SOUNDカードTM」は、心理的安全な場をつくる「言える化」ツール

 では、どうすれば、心理的に安全な話し合いの場をつくれるのか。そのために筆者が最近使っているツールが、第16回(「議会事務局の『パーパス(PURPOSE:存在意義)』を共有して『チーム議会事務局』に」)でも紹介した「SOUNDカードTM」である(https://www.soundmethod.jp/)。
 「SOUNDカードTM」は、オーセンティックワークスの中土井僚さんが、イノベーションや発達心理学等の理論を背景に、2022年に開発した話し合いの活性化を図るための補助ツールである。
 S、O、U、N、D、5種類のカードからなる。Sは「Status」で現状認識の共有、Oは「Outcome」でビジョン、ありたい姿の策定、Uは「Understand」で課題の深掘り、Nは「Negative Check」で懸念事項の確認、Dは「Drive」で具体的アクションの決定と、5段階の課題解決のステップになっている。それぞれのカードには、考えるきっかけとなる多彩な「問い」が書かれている。自分で選んだカードの「問い」について参加者全員が順番に話すことで、言い出しづらいこと、聞きたいけれど聞けないことが自然に話され、心理的安全性の高い場がつくられる。カードに書かれた「問い」の力で、場の活性化を促す「言える化ツール」である。
 「SOUNDカードTM」を使うことで、どんな話題でも、どんなメンバーでも深い「対話」が可能になるので、筆者も様々な話し合いの場や研修で活用している。以下、2023年5月、7月末に改選を控えた岩手県滝沢市議会で、「SOUNDカードTM」を使って開催された「議会フォーラム」の事例を紹介する。
 Chihoujichinoima_ph02

滝沢市議会の「議会フォーラム」の様子

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る