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2023.05.25 仕事術

第2回 どうする会派②

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実は自由度が大きい地方議会

 会派の扱いもそうですが、地方議会のルールは、詳細はそれぞれの議会ごとに決めることになっています。自治法では、大まかな骨格は規定していますが、細かく規定していないという構造になっています。どうしてそうなっているかといえば、日本国憲法92条が「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」となっているからです。
 地方自治の本旨というのが、少し分かりにくいですが、要するに大事なことは自己決定できるということです。学問的には、住民自治と団体自治ということになり、団体自治ですから、地方公共団体のルールについては、上限は国の法律や政省令で定めるものの、委細は地方公共団体で決定するということです。分かりやすいのは、議会の定数です。以前は、上限が自治法で規定されていましたが、現在は地方公共団体の自己決定です。
 地方自治制度を2階建ての建物に例えると、2階には、自治を進めるに当たっての強力な道具(例えば、住民投票、予算修正、議会からの監査請求、100条調査)が用意されているのですが、2階に上がる階段の仕様は定められていないので、2階の道具を使うためには、まずは、2階に上がるための階段を設置しなくてはならないという仕掛けになっています。2階に上がるために都度、はしごをかけるのか、それとも、しっかりとした階段を造作するのか。執行部としては、あまり2階に上がって道具を使ってほしくないでしょうし、地方議会も「まあ、2階はあるけど、ないことにしよう」というスタンスが大勢のようです。
 2階に上がる階段の一つとして私が取り組んだのが、議会基本条例の制定です。私は特別委員会委員長として、条例制定に取り組んできました(その話はおいおい)。
 いずれにせよ、議会はある程度妥協するところは妥協して徒党を組まないとなかなか前に進まないやっかいなところだ、ということは心得ておいてください。そういう意味では、「会派」もそれなりの役割を果たしているということです。
 前述の改正自治法89条にある「議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない」という条文は、「住民の負託」とは自分に投票してくれた住民だけが対象なのか、あるいは、それ以外の住民も含めた「住民の負託」なのかについて、よくよく吟味する必要もありそうです。
 また、2階にある道具の一つである予算修正について、どのように進めるかについては、私も分担執筆した『自治体議員が知っておくべき政策財務の基礎知識』(第一法規、2021年)第7章を参照してください。
 次回は、会派とも深く関係する人事、特に議長選挙についてです。

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◆書籍情報
『自治体議員が知っておくべき政策財務の基礎知識―予算・決算・監査を政策サイクルでとらえて財政にコミットできる議員になる―』(2021/3/11発売開始)

江藤俊昭 新川達郎 編著(定価3,300円 (本体:3,000円))
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 自治体議員が地方財政に主体的に関与・改善したいと考えたときに、本書を読むことで、政策財務の考え方、特に予算・決算・監査に関する基礎的知識や方法論を紹介。先進的な議会の予算決算に関する取り組みや予算案修正の際の考え方や手続き、具体的な修正の手法を知ることができる。

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