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2023.05.25 仕事術

第2回 どうする会派②

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元所沢市議会議員 木田 弥

 さて、前回は、当選順位のことは早く忘れて頭を切り替えた方がよいことと、議会に早くなじむなら、できれば新人議員は1人会派は避けた方がよいこと、などをお話ししました。
 今回はより突っ込んで、会派とは何かについて整理しておきたいと思います。

1人会派でも議案レクチャーは他会派と一緒に

 1人会派のデメリットの一つとして、執行部から提案される議案の中身について、本会議で行われる議案説明では最低限の説明しかないため、会派ごとに行われる議案レクチャー(「議案説明会」と称する議会も)が充実しないことを前回挙げました(事前レクチャーを全議員が集まって行う議会もあります。この場合、1人会派のデメリットはありませんが、逆に、各議員が質問を行う物理的時間に制約が生じます。執行部としては、時間の節約になってよいですが、特に新人議員にとっては、議案を吟味する能力の向上が妨げられる可能性があります)。
 執行部としては、事前の議案レクチャーは、なるべく本会議や委員会で質問されないように、通り一遍の説明で済ませたい心理が働きます。さすがに新人議員の場合、議案についての詳しい説明がないと、質問の糸口すらつかめません。また不十分な理解で質問すると、場合によっては「何聞いてんだ」とヤジられて議場で恥をかくことになります。
 もちろん、しつこく職員を呼び出して質問することも可能ですが、会派に所属していれば、先輩議員などが、運がよければ丁寧に分かりやすく、議員の観点から説明してくれます。
 もし、議案質疑や一般質問など、本来の議会活動にあまり熱心でない会派に所属した場合、執行部にしつこく聞くことを遠慮するように促され、後は個別でやってくださいと注意(説教)されることもあるようです。大会派の場合は、そもそも会派の人数が多いので、もし新人が根掘り葉掘り質問していたら、いくら時間があっても足りなくなるという現実的な事情もあります。
 私の場合、1人会派であった1年目は、前回紹介したY氏、O氏とともに議案レクチャーを受けました。3人しかいなかったので、議案レクチャーで好きなだけ質問させてもらいつつ、議案の背景についても、Y氏やO氏から説明いただくなど、1人会派のデメリットはあまり感じずにすみました。
 私の友人が無党派で新人議員として当選した際も、気が合う議員がいればぜひ会派に入った方がよいと勧めたところ、気の合う同僚議員と会派を結成。その市議会は、いわゆる与党系会派に公開する資料とそれ以外の会派、及び1人会派に公開する資料に露骨に差がつけられているようで、そうした執行部のやり方の是非はともあれ、会派入りを勧めてよかったと思いました。また、議案レクチャーも会派の規模順に行われます。まず、説明はいわゆる与党系の大会派からということと、説明の内容によっては、「あの会派にはこの話はするな」という指示が重鎮から出ることもあるようです。
 いずれにせよ、1人会派であっても、考え方の近い1人会派の議員がいるなら、せめて一緒に議案レクチャーを受けることで、議案に対する情報量は増えますし、別の議員の見方、考え方や知識も学ぶことができます。
 あるいは、少し大きめで懐の深い会派があれば、先輩議員の胸を借りるつもりで、議案レクチャーに参加させてもらうことをお勧めします。
 期を重ねた議員は、当然ながら地域の実情に通じていますから、本当に勉強になります。レクチャーをする執行部側の職員の情報(どこの地区出身か、誰と仲がよいか、過去にはこういう仕事をしていたなど)についても教えてもらうことができます。
 こういった情報は、議会活動で地雷を踏まないためにも貴重な情報です。
 職員は中立だと思ってぺらぺらしゃべると、話した内容が別の会派の議員や住民に漏れてしまうといったことがあるからです。私も、ある団体のことを職員の前であしざまに批判したところ、すっかり漏れて評判を落としました。
 逆に、そのことを利用して(伝わることを前提に)、情報操作するという高度なテクニックも駆使できるのですが、それは、新人議員にとっては、もう少し先の話です。
 また、保守系の規模が大きな会派に所属する新人議員で、議案レクチャーや代表者会議などにおける先輩議員の対応に不満がある場合は、なるべく早く会派を離れて、同じ保守系会派の志を同じくする議員と新会派の結成を検討されることもお勧めします。

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