2023.05.25 コンプライアンス
第89回 地方議会の役割及び議員の職務等の明確化等に関する地方自治法の改正/初議会における執行機関に対する出席要求
明治大学政治経済学部講師/株式会社廣瀬行政研究所代表取締役 廣瀬和彦
地方議会の役割及び議員の職務等の明確化等に関する地方自治法の改正
地方議会の役割と議員の職務等の明確化等について、法律上どのような改正がなされたのか。
地方議会の役割と議員の職務等の明確化等については、令和4年12月28日に第33次地方制度調査会が「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」においてその措置を求めている。
すなわち、議会の役割・責任、議員の職務等について、その重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられることから、具体的には、地方自治法の議会の設置根拠の規定に、議事機関として住民が選挙した議員をもって組織されるという地方公共団体における議会の位置付けを追記すること、地方公共団体の所定の重要な意思決定に関する事件を議決する等の議会の役割・責任を明確に規定すること、議員は、議会の権限の適切な行使に資するため、住民の負託を受け、誠実に職務を行わなければならないことを規定することを提言している。
【第33次地方制度調査会答申抜粋】
第3 議会の位置付け等の明確化
議会自身による多様な人材の参画を前提とした議会運営や住民に開かれた議会の実現に向けた取組のほか、議会が果たすべき役割、議員の活動のあり方等を含めて、住民との議論も重ねながら、地域の実情に応じて、議会の目指すべき姿を明確化していく取組は数多くの地域で見られる。その上で、議会の目指すべき姿が議会基本条例などの形で定められることもある。これらは、議会の活性化に向けて、住民とともに持続的な取組を行っていく観点から意義があるものと考えられる。
他方、一部に、議会が必ずしも求められる役割を果たしていないような事例や、住民の信頼を損ないかねない議員の行為の事例も見られる。こうしたことがないようにするためにも、議会がその重要な役割・責任を十分に果たすよう、議会や議員がそれぞれの立場において、その重い役割や責任を自覚することが何よりも重要である。
これを踏まえ、議会の役割・責任、議員の職務等について、その重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられる。具体的には、地方自治法の議会の設置根拠の規定に、議事機関として住民が選挙した議員をもって組織されるという地方公共団体における議会の位置付けを追記すること、地方公共団体の所定の重要な意思決定に関する事件を議決する等の議会の役割・責任を明確に規定すること、議員は、議会の権限の適切な行使に資するため、住民の負託を受け、誠実に職務を行わなければならないことを規定することが考えられる。この際、特に、議員に関する規定は、職務を行う上での心構えを示すものであり、新たな権限や義務を定めるものではなく、本来の議員の職務以外の不適切な行為を正当化し、助長するようなことにならないよう、十分留意すべきである。