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2023.05.12 仕事術

第1回 どうする会派①

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できれば1年目は1人会派は避けた方がよい

 さて、今回のお題は、「どうする会派」。
 当選証書授与式が終わり、新旧議員の顔合わせも済ませて、さあ会派をどうしようかとお悩みだったのでは。本稿を読まれる頃には、ほとんどの新人議員が既に会派届の提出も済ませていることでしょう。特に、政党所属でない議員の方々は、会派選択に難渋されたことと拝察します。
 いろいろな方から誘いを受けて既存の会派に所属された方も、あるいは1人会派を決断された方もいることと思います。私の友人は、選挙中は党公認をもらえなかったのに、当選した途端、「仲間だろう」とその党の会派入りは当たり前のように扱われ、憤慨していました。別の新人議員は、保守系の大会派長老議員から所属したい委員会の副委員長ポストをチラつかされ、いまだに悩んでいるようです。例えば、福祉の充実を訴えて当選したのだから福祉に関係する委員会にぜひ所属したい、そういう新人議員の思いを見透かして長老議員は声をかけ、新人を篭絡(ろうらく)するのです。
 議会によっては、新人同士で会派を組むというケースもあるようです。実際に、議会改革で実績のある三重県四日市市議会は、例年に比べて多くの新人議員が当選した際に、新人同士が会派を組むことから、従来の慣習にとらわれない議会を目指すことができるようになったと聞いたことがあります。
 ちなみに、我が市の市議会の今期の会派構成は、私のような党派に属さないと確認できた新人の無所属議員は、定数33人のうち2人いました。2人はそれぞれ、新しくできた会派と既存の会派に無事、所属されました。
 結論からいえば、政党に所属していない議員ほど、少なくとも1年目は気の合う同じような立場の議員を見つけて、会派を結成する、あるいは会派に加入することをお勧めします。
 1人会派のデメリットは、各地方議会の事情によっても異なりますが、大きく三つの点が挙げられます。
 一つ目は、代表者会議や議会運営委員会にほぼ参加できず、よって議会の運営に関する情報が入手しづらいことです。それぞれの議会ごとに、代表者会議と議会運営委員会に参加するための、会派の最低人数が決められています。我が市議会の場合は、代表者会議は3人以上の議員が会派に所属することが条件です。そのため、1人会派だけでなく、2人の会派もこの会議体に参加することができません。なぜ3人かといえば、そうなっているとしかいいようがないのですが、理由としては、我が市議会の場合は、定数が33人ですから、3人いれば定数の12分の1で修正動議や議案提案ができることで何となく説明できそうです。一方、議会運営委員会は、委員割当て数の多い大会派が割当ての一部を放棄した場合などに、2人会派にも委員会所属が認められるケースもあります。
 議会運営委員会は、委員でなくても傍聴可能ですが、我が市議会では、代表者会議は傍聴も許されていません。代表者会議は議事録を作成しないので、全くのブラックボックスです。位置付けが任意の非公式な会議となっているからです(代表者会議:我が市議会における名称。会派代表者会議、会派交渉会と称する場合も。会派の代表が集まって議会内の主に人事を差配する会議。例えば、委員会所属、正副議長をはじめ各常任委員会正副委員長など議会内人事について、この会議で調整される。もちろん最終的には正副議長は投票で決定される。一般的に1人会派はこの会議に参加できない)。
 二つ目は、会派ごとに行われる執行部からの議案レクチャー(事前の議案説明と説明に伴う非公式質疑。議事録はつくられない。議会によっては全議員に対して議案レクチャーを行う場合もある)の内容が充実しないことです。
 三つ目は、一つ目とも関連しますが、常任委員会の委員長など、議会内の役職がなかなか得られないことです。住民の方から見れば、例えばある委員会の委員長にどれだけの重みがあるのか、十分には理解できないと思います。しかし、実際に委員長ともなれば、その委員会の運営を任されます。委員長の能力次第で、執行部から提案された議案の扱いを差配すること、具体的には、どうしてもさらなる議論が必要となれば(あくまでも所属委員からの提案があることが基本ですが)、審議日程の追加や場合によっては継続審議(議案を「つるす」こと)が可能になります。また、特定事件といって、委員会がテーマを決めて、閉会中に委員会として調査活動を行うことができます。
 1人会派のメリットも挙げておきましょう。①議決の意思表示(賛成、反対、棄権)についての会派の拘束を受けない、②政務活動費の使途を1人で決めることができる(特に、会派支給が原則の議会)、③次回選挙において、1人で頑張っているイメージを訴求できる(頑張っているけれど、実際は、議会運営委員会の委員になることも1人会派はまれなので、議会の制度改革などに直接は関わることができない)。
 特に4年の任期中に数回は、会派の意向はともあれ、この議案はどうしても賛成できないという場合が出てきます。1人会派であれば遠慮なく反対若しくは棄権することができますが、会派に所属していればそうもいきません。先ほど挙げた例のように、人事で釣られて会派に入った場合、反対すると特に首長与党標榜(ひょうぼう)会派では、「いいとこ取りするな」と批判され、附帯決議を付けるから、などと丸め込まれ、本人も活動報告に自慢げに「附帯決議を付けることができました」と報告してコアな支持者の失笑を買うというのが、しばしば見られるパターンです。ですから、失笑を買いたくないなら、1人会派もいいでしょう。
 私の場合、会派に所属しながら、会派内で私だけ反対させてもらうことができました。特にある議案では私の反対の1票で議案が否決に。会派に所属しながら1人だけ反対できた理由は、首長会派ではないこと、その会派の最初の構成メンバーの1人であったこと、会派の他の議員も本音では反対だったことなどです。ですから、1人会派でなければ議案に反対できないとは必ずしもいえないこともお伝えしておきます。

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