2023.03.27 政務活動費
第6回 政党が出版する政党紙の購入の是非
【岡山地判平成30年1月31日】
エ 資料購入費
(ア) 総論
資料購入費(会派の行う調査研究活動のため必要な図書、資料等の購入に要する経費)が使途基準として掲げられているのは、政務調査費の支給対象となる会派の構成員たる議員が、議会活動を推進するのに有用と考えられる知識、情報を獲得するために必要な図書、資料等を購入する経費を、議会活動に関する調査研究に資するために必要な経費として認める趣旨と解される。したがって、資料購入費として認められるか否かの判断に当たっては、その資料の内容が議会活動と関連するものか否か、支出額が目的や内容等に照らし相当であるか等の見地から、当該資料の購入に係る支出が議員の行う調査研究活動のための支出として合理性を有するものといえるか否かについて審査すべきである。なお、同一資料の複数冊購入については、資料購入の目的に照らし複数冊購入すべき必要があると認められるような場合に限り、調査研究活動のための支出として合理性を有するというべきである。
(イ) (略)
(ウ) 政党誌、団体誌、業界紙の購入に係る費用
政党誌、団体誌、業界紙は、政策を調査研究し、市政について検討する際の重要な資料となるものであるから、一般に議会活動の基礎となる調査研究活動のための支出として合理性を欠くものとはいえない。原告は、自身の所属する政党の発行した政党誌、団体誌については、政党の支援活動等のための購読という側面があるから、これらに係る支出は全て違法である旨を主張するが、自身の所属する政党の発行した政党誌、団体誌であっても、市政について検討する際の資料とされることもあり得るのであり、また、他団体の発行するものと比較検討することも有益と考えられるから、議会活動の基礎となる調査研究活動のための資料購入代金は、当然に政務調査費として違法な支出になるとはいえない。
さらに、大阪地判平成30年4月27日では、機関誌及び新聞等には、当該政党の政策に限らず、国内外の政治経済等に関する情報が記載されていると認められるところ、前記機関紙及び新聞等を購入する行為は、会派又は議員としての議会活動の基礎となる前記情報を得るためのものとして合理性を有するというべきであって、関係各証拠に照らしても、当該購入に係る支出が、本件別表所定の項目及び内容に該当しない、又は、社会通念上、相当であると認められる範囲を超えていると認めることができないとし、支出を認めている。
【大阪地判平成30年4月27日】
原告らは、……の各支出に係る資料は、政党の機関誌等であるから、前記各支出は、条例所定経費に該当しないし、特に、自らが所属する政党の機関誌や政党新聞の購入費は、社会通念上、政党活動と同視すべき活動に要する経費であるというべきであって、条例所定経費に該当しない旨主張する。しかしながら、弁論の全趣旨によれば、前記機関誌及び新聞等には、当該政党の政策に限らず、国内外の政治経済等に関する情報が記載されていると認められるところ、前記機関紙及び新聞等を購入する行為は、会派又は議員としての議会活動の基礎となる前記情報を得るためのものとして合理性を有するというべきであって、関係各証拠に照らしても、当該購入に係る支出が、本件別表所定の項目及び内容に該当しない、又は、社会通念上、相当であると認められる範囲を超えていると認めることができない。したがって、前記各支出は、条例所定経費に該当しないものであると認めることができない。なお、原告らは、資料作成費に該当するとして政務活動費を充てられている番号19の支出についても、政党新聞の購入費用であるので条例所定経費に該当しない旨主張する趣旨であると解されるところ、以上検討したところによれば、当該支出が、条例所定経費に該当しないと認めることもできないというべきである。