2023.01.25 条例
第87回 個人情報保護法改正に伴う議会における個人情報保護条例の制定について
3 地方議会の個人情報保護に対する措置
新個人情報保護法のうち地方関係は令和5年4月1日から施行されることとなるが、現在、地方公共団体において当該個人情報については、多くが地方公共団体独自の個人情報保護条例を規定し、その実施機関として議会が規定されていることが多いといえる。
この条例は、新個人情報保護法が地方関係において施行される令和5年4月1日から、執行機関については新個人情報保護法が直接適用されることから、当該条例の多くの規定が削除されてしまう。一方、新個人情報保護法が直接適用されない地方議会について当該条例で規定しようとすると、新個人情報保護法に規定されている事項も条例で規定する必要がある。これでは、執行機関と議会に適用する条文が分かりづらくなることから、執行機関と一緒に議会を一つの条例で規定することは実務上困難である。
しかし、地方議会も新個人情報保護法において執行機関とともに個人情報の適正な取扱いを確保する責務があることから、各議会の判断によるが、議会における個人情報保護制度を設けないということは実務上難しいと考えられ、議会独自の個人情報保護条例を規定する必要性が生じるものと考える。
そのため、全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会から、議会独自の個人情報保護条例例及び個人情報保護規程例が参考として示されたといえる。
この個人情報保護条例例等は、新個人情報保護法の第5章の規定に対応するように策定されており、執行機関側と差異が生じないようにという配慮のもとに示されているといえる。
なお、議会における個人情報は、議会事務局が保有する個人情報を想定していると考えられる。
これらを踏まえた上で各地方議会においては、議会が有する住民の個人情報に関する適切な措置、すなわち議会を対象とした個人情報保護条例及び規程を新個人情報保護法が施行される令和5年4月1日までに策定、施行することが必要であると考える。