2023.01.25 条例
第87回 個人情報保護法改正に伴う議会における個人情報保護条例の制定について
2 地方議会の取扱い
このように地方公共団体については新個人情報保護法が適用となり、運用がなされることとなったが、地方公共団体の内部機関である地方議会は新個人情報保護法の適用から除外となっていることに留意が必要である。
これは新個人情報保護法2条11項2号(令和5年4月1日施行)において、新個人情報保護法の対象となる行政機関等から、議会を除くとの規定がなされているからである。
【新個人情報保護法2条】
⑪ この法律において「行政機関等」とは、次に掲げる機関をいう。
(1) (略)
(2) 地方公共団体の機関(議会を除く。次章、第3章及び第69条第2項第3号を除き、以下同じ。)
(3)・(4) (略)
なぜ議会が新個人情報保護法の適用対象から除外されたのかといえば、国会や裁判所が法律による個人情報の取扱いに係る規律の対象となっていないことから、それらとの整合性を図るためであるとされている。
ただし、新個人情報保護法第2章の5条及び第3章の12条1項、第5章の69条2項3号の条文中の「地方公共団体の機関」には地方議会も含むとされているので、留意が必要である。
(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、国の施策との整合性に配慮しつつ、その地方公共団体の区域の特性に応じて、地方公共団体の機関、地方独立行政法人及び当該区域内の事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
(地方公共団体の機関等が保有する個人情報の保護)
第12条 ①地方公共団体は、その機関が保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずるものとする。
② (略)
(利用及び提供の制限)
第69条 ① (略)
② 前項の規定にかかわらず、行政機関の長等は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによつて、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
(1)・(2) (略)
(3) 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体の機関又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
(下線は筆者による)