地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2023.01.25 医療・福祉

第7回 介護保険の運用ローカルルール問題への対応

LINEで送る

求められる対応策  

 ローカルルール問題への対応として、先の報告書では市町村に次のような対策を提言しています。  
 「そもそも、法の解釈は難しく、それゆえ自治体職員は頻繁に職員間で意見交換を行ったり、国や都道府県に問い合わせるなどして、職員間の指導に差異がないよう注意を払っているとの報告があったが、それでも指摘や指導が異なることが生じているようであり、それは事業所にとっては、『何を指針にすればよいのか』の基準がないことになってしまう。それを防ぐ意味でも、自治体職員は、これまで以上に担当職員間の意思統一を図ることが重要である。特に制度や加算の要件に変更があった場合には、職員間の理解の一致を図ることはもちろん、実地指導を出先機関が担当している場合や、外部機関に委託している場合には、独自の判断や行き過ぎた指導とならないよう、自治体が責任をもって確認することが必要であろう。」(下線筆者)  
 つまり、自治体職員に対して、しっかりと法解釈をした上で運用せよ、というわけです。しかし、3年前後で異動を繰り返す自治体職員に、果たしてそれが可能でしょうか。実際の介護保険関係の法規を鑑みるとき、それは極めて困難だと感じています。この点において、一部の自治体では、介護保険の法務に強いスペシャリスト職員を育てるため、異動を極力行わない地域もあると耳にしたことがあります。  
 地域の介護保険サービス事業者は、長いところでは創業20年以上のところも珍しくありません。もちろん、20年以上のベテラン従業者もいます。それに対して、全く関係のない部署から突然、異動してきた自治体職員1年生が対応するのは、双方にとってもメリットが少ないでしょう。何より、ルールの誤った運用の結果、高齢者が必要なサービスを利用できない事態があってはなりません。
 以上により、国には簡素で実用的な法規制定を求めるのは当然のこととして、地方自治体には、「ローカルルール」と称した法規の誤読や誤った運用をしない、適正な職員配置をお願いしたいと思います。
(1) 厚生労働省「介護分野におけるローカルルールについて」第2回医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ資料1-7(2022年)(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2201_03medical/220207/medical02_agenda.html)。
(2) 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「実地指導における行政文書削減に関する調査研究報告書」(2018年)(https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/H29rouken-1houkoku.pdf)。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る