2022.11.25 住民参加
【セミナーレポート】「地方議会活性化シンポジウム2022」地方議会をより開かれたものへ~多様な人材の参画に向けた取組~
まとめに代えて
人口減少社会での議会の役割を改めて認識する必要がある、そのためには地域の将来像をどう描くか、地域全体で考える必要があり、その将来像に向けて、人材や財源、地域の資源が限られている中で、どこに投資していくかを厳選していくことが必要で、それらを地方議会で検討するべきであるとの提言がありました。
その際の選択基準は、「地域の持続可能性を探る」「心豊かな暮らし(ウェルビーイング)を求めていく」ことであり、各地域で何がウェルビーイングなのかは、若年世代や将来世代を含む多様な主体の参画が無ければ決めることができないため、多様性に富む地方議会で議論が不可欠であると結論づけました。
これらを実現するためには、過少代表の是正(女性議員、若者世代、子育て世代の比率が低い)を考える必要があり、立候補環境の整備、モチベーションの醸成などが重要となる、との提言もありました。
社会全体の変革に期待
議会での多様性の確保、それを反映していくことが不可欠であることを強調し、多様性を前提とした議会運営のため、過渡期においては議会と住民のコミュニケーションを充実させることが必要となってくることも強調されましたが、多くの人が議員になるためには、多様な経験をした多様な世代が多様に参画できる議会が望ましい形ではないか、との話もありました。
社会経験を生かせる議会、たとえば、議会で活躍後にまた社会に戻って議会経験を社会に還元していくというような流動性のある人生の選択、職業の選択ができるようになると地方議会のあり方もかわるのではないか、との提言もありました。
議員の経験を生かせるような社会になるためには、社会の側がそのようなライフスタイルの選択を望ましいものとして評価して受け入れる素地も必要であり、雇用の仕組みも変わらなければ実現できないとの指摘があり、社会全体の課題である、社会全体の変革を考えていけるような議論が必要であろう、と結びました。
「多様な人材の参画に向けた取組」のための事例紹介
次に、「地方議会をより開かれたものへ~多様な人材の参画に向けた取組~」と題してパネルディスカッションが行われました。
勢一智子氏をコーディネーターに迎え、パネリストとして、吉村悠氏(福岡県議会議員)、渡辺賢次氏(千葉県船橋市議会議長)、齋藤 浩一 氏、風間 雅文氏(山形県遊佐町教育委員会教育課)、本目さよ氏(一般社団法人WOMAN SHIFT代表理事)が参加されました。
まず、吉村氏からは「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」について、条例制定に至った経緯や条例のポイントの紹介があり、想定されている相談の流れなどの説明がありました。
続いて渡辺氏からは、「デジタル技術を活用した住民参加推進の取組について」と題して、「オンライン議会見学会・意見交換会」「議会中継における字幕配信」について紹介がありました。開催に至った経緯や、新型コロナウイルス感染拡大によりオンライン導入について説明がありました。
次に、リモートでの参加となった齋藤氏、風間氏からは、遊佐町少年議会についての紹介がありました。2003年から実施されている少年議会について、導入のきっかけや制度、政策への実現について報告いただきました。
最後に、本目氏から「一般社団法人WOMAN SHIFT」の取組として、「若手女性議員のネットワーク」と「ママの議員インターン」についての紹介がありました。若手女性議員を超党派で支える仕組みや課題、それらに対する提言などの報告に加え、女性の声を政治に届けるための手段として取り組んでいる「ママの議員インターン」活動についての紹介がありました。
後半では、パネリスト同士の質問や意見交換の時間が設けられ、閉会となりました。