2022.05.13 一般質問
第14回 一般質問を議会の政策資源に ③別海町議会「一般質問検討会議」が示唆すること【後編】
法政大学法学部教授 土山希美枝
筆者の怠慢で、前編から長く空けてしまうこととなった。読者と編集部、関係各位に深くおわび申し上げたい。
前編では、通告書をとりまとめる段階で、議員全員が参加して質問予定議員の通告書案を素材に意見交換し、一般質問を「磨き上げ」る北海道別海町議会の「一般質問検討会議」について、その経緯や手法をご紹介した。後編では、この「一般質問検討会議」(以下「検討会議」と略記)を別海町議会の各議員がどのようにとらえているかについて、各議員のアンケートやコメントからとらえてみたい。
本アンケートは、2022年3月から4月にかけて、別海町議員を対象に行った。GoogleFormへの直接の回答、あるいは設問を印刷した紙に記入した回答の形で回収した。定数16人のうち、15人の回答を得た(回答率93.8%)。
一般質問検討会議に対する評価
一般質問検討会議は、半日又は1日を使って、通告書段階の一般質問をめぐって、議員全員で検討する取組みである(前編参照)。2019年9月議会から行われ始めたので、形態や位置付けなどを調整しながら、2年半積み重ねてきたことになる。まず「検討会議」について議員が現在どう感じているかについて見てみよう。
Q1、Q2また後掲するQ3は、定例会直前の時期に全員が集まるこの機会が、「質問する議員にとって」「質問しない議員にとって」「議会にとって」参加し開催する価値があるかを尋ねている。質問する議員にも、しない議員にも、議会の取組みとしても、価値のある取組みと認識されていることが分かる。Q2「質問しない議員にとっても、参加する価値のある取組みと感じますか?」で1件「あまり感じない」とする回答がある以外は、いずれも「強く感じる」「まあ感じる」との回答で、Q1「質問する議員にとって」では53%が「強く感じる」と答えている。
こうした認識は当初から感じていたかという質問が、Q5、Q6である。現在ほどではないが、Q5「質問する議員にとって」は当初から「強く感じた」「まあ感じた」とする回答も多い。Q6「質問しない議員にとって」は「あまり感じなかった」「感じなかった」という回答も少なくない。Q1、Q5を比較すると、質問する議員にとっての価値は強く感じられるようになり、Q2、Q6の比較では、質問しない議員にとっても価値あるものという理解が共有されてきたのが2年半の取組みの結果だということができるだろう。